煙草と硝煙が香るハードボイルド作品

 とにかく渋みにあふれた世界観。文章から煙草の香りがしてきそうなほど。
 名だたる探偵作品が持つちょっとアングラな雰囲気が、本作品にも継承されています。

 展開が丁寧に書かれており、これから騒動に発展しそう……という読み手の期待感を的確に煽ってくれます。
 テレビドラマというよりは、アドベンチャーゲームをプレイしているようでした。「観る」のではなく「入り込む」感覚が味わえます。

 渋い主人公と共に物語を解き明かして行きたい、そんな作品を探している方にはぴったりの小説です。