第7話 「母の死」

母が余命三ヶ月と告げられて数日経った明け方に、こんな夢を見た。


窮屈そうな長屋が並ぶ路地の街。僕の母親が狭い路地を曲がって歩いて行くのが見えた。母の行く先は袋小路のはずだった。大きな音がしたのでそちらを見ると、狭い路地を恐ろしいスピードで走ってくる一台の車が見えた。「母ちゃんが危ない!」と思って駆け寄ろうとしたが、時既に遅く暴走車は袋小路の母を轢き殺してしまっていた。僕はバタバタとその袋小路まで走って母の亡骸を見た。呆然としながらも母の躯を抱きかかえて泣いた。泣きながら母を見ると僕が子供のころの母のように若返っていた。

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