■Hope  006


・ネイサン(Nathan Taylor)

「まあ、はっきり言って、何が何だかわからないというのが本当のところだよ。ラナ。

たった一つ、君が今話題の守護妖精のラナと言う事だけは理解できたんだけど。

とりあえず、

どういう過程で今のこの状態になったのか、そして、なぜ何の面識もない僕を呼んでくれたのか?

少し教えてくれないかな」


・守護妖精 ラナ(Lana)

「はい、もちろんです」

「まずは遅くなりましたが自己紹介とお礼を言わせてください。

はじめまして、私は守護妖精 ラナといいます。

今回は非常事態であったとはいえ、急に素性もわからない私たちのために、命の危険を顧みず全力で駆けつけていただいて、なんとお礼を言ったらいいのか言葉に表せませんが、それでも本当に本当にありがとうございます」


・ネイサン(Nathan Taylor)

「いや、当然のことをしたまでさ。でも本当によかった。

最近はこのあたりも治安が良くなってきたけど、やっぱり多少はトラブルなどがあるからね。少し注意をしたほうがいいね。

ところで彼女は大丈夫かな?」


Policeと話をしているメアリーを気遣いながら続けた。

「Policeも、守護妖精というスマホの新しいシステムが勝手に僕に助けを求めたとメアリーが説明しても、きっとよく理解できないだろうね。

なんといっても後数週間しないと一般発売されないシステムだから、それが具体的にどんなふうになっているかわからないだろう。

ただ、結果から見て先進的な緊急セキュリティシステムがはたらいて、なにかの混線で友人たちではなく、ぼくにコールしたと認識されるだろうね」


・守護妖精 ラナ(Lana)

「そうですね。大筋表面上そんなところですし。

ただ、彼女に少し横腹などに怪我をさせてしまいました。それに精神的にもかなりのショックとなりました。

こんなことにならないように私はメアリーのもとに来たのに、あまりにも愚かです。私は守護妖精として失格です・・・」


・ネイサン(Nathan Taylor)

「ラナ。君は十分全力で彼女を守ったじゃないか。君は神様じゃないんだ。全ての出来事を予測したり、それに対して完全な対応ができるわけじゃないだろ。

その時々の状況によって最良な行動をとることが君の役目なんじゃないかい。

そして君がそれを果たしたからこそ、彼女は無事だったんだと思うよ。


これを一つの経験として次への教訓とすればいい。次は同じような失敗をしない。それだけは忘れないことだ。

そしてこれからも彼女をしっかりと守っていかないと。

それが君の使命なんだろ・」


・守護妖精 ラナ(Lana)

「ありがとう、ネイサン。あなたの言われたことを胸に刻みます」


・ネイサン(Nathan Taylor)

「ところで、どうして僕だったんだろう?」

~~~~~


ネイサン(Nathan Taylor)は近くの会社の保安課に所属している。

上司のルイ(Louis Durand)とフェスティバルによって一杯飲んだ後別れ、 

帰宅しようと、メアリーが向かっていた地下鉄と同じ地下鉄駅に向かっているところだった。


そこへ突然スマートフォン(モバイル機器)が鳴り、取ると

「ネイサン(Nathan Taylor)?私は守護妖精のラナ(Lana)。NameCode -20140512911-、AccessTimeCode -oath0001totp- 緊急要請、私のオーナーが襲われかけています。助けてください。すぐさま反転し、メインストリートを戻って3つ目を左・・・」


パーソナルコードも、特殊変成コードも今日のものに合致していることをスマホのアプリは認識した。


「・・・外部用緊急コードか。しかし・・」


とはいえ考えている余裕はない。

ネイサン(Nathan Taylor)は突然人の流れとは反対に、フェスティバルからの人ごみをすり抜け、到底仕事帰り一杯飲んだとは思えない速さで走り出した。


・ネイサン(Nathan Taylor)

「間に合うか?」


・守護妖精 ラナ(Lana)

「期待しています」


・守護妖精 ラナ(Lana)

「次のストリートを突き抜けた先の右の路地、入ったらすぐに “メアリー(Mary Miller)大丈夫かー!” と何度も大声で叫びながら最速で来てください」


・ネイサン(Nathan Taylor)

「わかったー」


・守護妖精 ラナ(Lana)

「入ったらすぐにです。彼女は見えないと思いますがその路地を抜けた先で絡まれています。」



ダァダァダァ・・この路地か

「メアリー(Mary Miller)!どうしたメアリー(Mary Miller)!誰だそいつらは!」


ガチャガチャダダァーン

「わーぁぁぁー・・・・」


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