■Hope 002
数日後上司がメアリーを呼び出し
「例の企画の件だけど、基本あなたの企画をベースにすることになりました。
部長の話ですが、クライアントが、あなたの企画の着眼点に興味をもたれたとのことです。
あまり時間がないので今日中に私がチェックしている項目を再度構成しておいてちょうだい」
メアリーが急いでデスクに戻ってくると、リアがサーと近寄ってきた。
「知ってる?例の企画、うちの上司が押していた企画が受けなかったらしく、予備に持っていったいくつかの企画の中からあなたの企画が気に入られたらしいわ。してやったりだわ!」
「これで、あの嫌な上司は、移動がどうとか、才能がどうとか言えなくなるわ。ほんとよかったわねメアリー!」
・メアリー(Mary Miller)
「ありがとう。お祝いに、帰りいつものお店でいっぱいやりたいんだけど、今日中に手直ししないといけなくって・・・」
・リア(Lea Wagner)
「えー、今日中?」
「それは嫌がらせに近いわ」
「じゃあ、手伝うからさっさとやっちゃいますか・
あ、そうだった、ごめん!手伝いたいんだけど、今日彼と約束してたぁー」
・メアリー(Mary Miller)
「あ、そっか。今日は一緒にフェスティバルに行くって言ってたね。大丈夫、基本あまり変えたくないからさっさとやってしまうから」
~~~~~
誰もいなくなったオフィス。
「会議にはまだ数日あるのに、おまけにフェスティバルの最中、ほんと信じられないわ。」
ラナはぶつぶつつぶやく
「ラナ―、でもね、この企画には私の運命がかかっていたの。
もしクライアントの目にこれが留まっていなかったら、私は次の移動で営業部に配置されていたわ。
ラナも知っているように、私は人とおしゃべりするのがあまり得意じゃないの。
営業部に回されると言う事はそれを知っての移動と言う事。
もちろん、企画もプレゼンテーションがあるからそんなこと言ってられない。
だからいつも全力で頑張っているつもりなんだけど
自然にそういう気負いがにじみ出ているのがじぶんでもわかっているの。
陰で「向いてないよね」って言われているのも知ってる。
でもね
それでも
企画という仕事が私は好きなの。
アピールする話術が得意でないのは大きなデメリットだし、多くの人に対してのコミュニケーションも苦手だけど、
与えられたテーマにそって、白紙の紙の上に一から組み立てていく先に、多くの人たちの歓声と笑顔を想像するのがとても楽しい。
確かに企画は縁の下の力持ちといえばその力が認められていうようにみえるけど、
実際は発案から実行まで見えない努力を山のようにこなさないといけないし、
前準備や雑用も山のようにこなさなければいけない。
その期間はいつも企画の事で頭がいっぱいになるし、
開催中はトラブルを上手におさめ、
終われば終わったで締めくくりや残務整理、事後報告書など、これほど大変な仕事が他にあるだろうか?
ってぐらいへとへとになる。
にもかかわらず
良い成果は表の人の評価となり、
失敗や課題はこっちにすべて回ってくる。
割に合わないってみんなはいっているけど、たしかにそう。たしかに。
でもね
私は誰も思いつかないような企画で、人々が驚きながらも笑ってくれて、
喜んでくれる。
「来てよかった」「参加してよかった」「また必ず来ような」
ゴミを拾う私の横をすれ違う人たちがそんなことを言ってくれるのがとてもうれしい。
そして
ちょっと心の中で“私たちが一生懸命作りました”というだけでいいの
わかってくれるかなー?」
「はいはい、わかってますわよ。私を誰だと思ってらっしゃるの。」
「演説は、今度時間のある時聞くから。もうこんな時間になったー。はい!ピッチあげるわよ」
~~~~~
・守護妖精 ラナ(Lana)
「で、あれ、そこのデータ数値が反対よ。こっちが120で・・・・」
「ぼーとしない!手を動かしなさい!」
・メアリー(Mary Miller)
「はーい」
・守護妖精 ラナ(Lana)
「ほんと、おおらかというか、状況把握がにぶいというか・・・」
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