第2話 初めての相談

僕は今年から高校生になる。

一応、第一志望に合格しそれなりに満足のいく毎日を過ごしているのだが……

どうしても物足りないというか、そう、つまり。

「僕は彼女がほしい!」

高校の入学式を終え、普段通り中学から同じ高校へと進学した友人、宮本と行きつけのカフェに来ているところだ。

「おー、そうか。」

あまり気にも留めないような無関心な言葉を発すると宮本は少しだけ遠くを見つめて、ほーっとため息をついた。

「お前は彼女いるからいいけどさー、僕は未だにいないんだよ?」

切実な友人の話を聞き流している友人宮本に多少ムッとした。

「いや、な?俺、彼女と別れそうなんだよ今」

再びほーっと息をついた。

「またか…」

宮本は容姿端麗だ。

まぁ、つまりはモテる。

しかし、宮本は世間から言うと多少意外にも一途な男で僕の幼馴染と幼稚園来ずっと付き合っているのだ。

「お前が他の人にも優しくするから嫉妬しちゃうんだよ。宮本さんよう」

羨ましいと僕は思う。

同い年でモテるし、彼女がいるし、しかも一途だと。

まるで、それはライトノベルとか、漫画によく出てくる「主人公」のようだ。

そこでハッとした。

「主人、公」

ボソッと声が漏れた。

宮本は不審げに僕を見つめた。

「はぁ?何ぼやいてんだよ。彼女ほしい〜の次は主人公かよ。いい加減大人になれよ、悠」

普段あまり僕の名前を呼ばないこの宮本が名前をわざわざ出す時は、あきれ返っている証拠だ。

「この間読んだ本にさ、書いてあったんだよ。

人は皆、その人の物語の主人公だ、ってね」

ニヤリと自慢げに笑みを浮かんでくるのを抑えられずに、やはりニヤけた。

「おーそうか。んじゃあ、その主人公さんは、俺の恋路を助けてくれたりするか?」

宮本とその彼女、優衣の別れ話はこれまで何度か繰り返されて、時には宮本と優衣の当事者だけで解決されないこともあったので、僕が仲介したこともある。

「んー、そうだねー

まぁ、人助けっていかにも主人公らしいし!

任せてよ!」

そこまでたくましくない胸を僕はドンと叩いて見せた。

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