彼は異世界で何をするか。
@yumesaki
出会い編。
第1話 日常の中で。
帝都アルキス。そこはアルキス帝国の国の名前を冠する大都市。中央都市と呼ばれるそこには、食べ物や工芸品、様々な物が集まり帝国の発展を示している。
だが、それは帝都全体に及ぶわけでわない。光と影があるように栄えているところも貧しい所もある。
帝都の南西外壁近くの住宅街。
迷路のように入り組む道を進んでたどり着く事のできるその住宅街は、帝都と同じでヨーロッパのような街並みではあるものの、陰気な空気が流れて、所々薄汚れている為、美しさとは程遠い。
道端には、浮浪者、街娼もいて彼らの表情は暗く沈んでいる。時には生気のない顔をしている。
その住宅街の奥まった所にある一軒の家。そこはさらに外壁の側に殆ど誰も近寄らないような奥まった場所。
木造建築のその家は、大きさはあるもののどう考えてもボロい。
その扉に1人の青年が手を掛けて扉を開く。
-Exchange perspective -first person
辺りは薄暗く、夕日が沈むのも後僅かだろう。
「ただいまー。」
立て付けの悪いドアを開けてそう言うと、足音が聞こえてきた。
「おかえりー!」
「バカ、ラミナ!走るな!」
ドタドタとドアに向かって走ってくるのが聞こえたかと思ったら、2人の少女が俺の眼の前にやって来た。
「ナナリ、お疲れ様!」
「あ!もうっ!…ごめんなさい、騒がしくて。お疲れ様ナナリ。おかえりなさい。」
「エリシアはいちいち気にし過ぎだよ!ねっ!ナナリ。私もうお腹すいちゃった!早く作って!」
元気にかけてきた少女と、それを嗜める少女。
1人目の女の子の名前はラミナ。笑顔に溢れるラミナの表情にはいつも癒される。
頭の上には犬のような耳が付いている。この耳は別に、カチューシャとかしてる訳ではない。本当に犬の耳が付いてるのだ。まぁ、ラミナの場合は確か狼の耳だった気がするけど。
ラミナは銀狼族と呼ばれる獣人の一種だ。獣人とは動物の一部を身体に持つ人達の種族の事で彼ら人間より身体能力が高いのが特徴だ。
2人目の女の子の名前はエリシア。しっかり者の彼女はいつもこうやって、走ってくるラミナを追いかけて窘めてる。だけど、いつもこうやっておかえりなさいって言ってくれるのは本当に嬉しい。
エリシアはかなりの美人だ。エルフという種族の彼女は耳が長く尖っていてまた、それが…ごめん、俺の趣味は関係ないよね。
エルフの特徴として長い耳以外に皆美男美女であるという事がある。大人になったら見分けがつくものの、顔立ちだけならば子供のエルフは本当に男女の区別がつかないほど美しい顔立ちをしている。
「あはは、ちょっと待ってて。すぐに行くから。」
「分かった!待ってるから早くねー!」
そう言って、ラミナはまた廊下を戻っていった。
「ナナリ。本当にごめんね。また後で言っとくから。その荷物持つよ。」
ラミナにはぁ、とため息を吐いた後そう言ってエリシアは俺の手に持っていた、晩御飯の具材に手を伸ばす。
「いいって言ってるのに…。」
「ダメです。これは私がやるのです。私の気持ちも考えて下さい。」
「じゃあ任せるよ。」
「分かれば良いんです。」
「エリシアって案外、頑固だよね。」
そう言うと、エリシアはこっちを見てから怒った風にして、べーっと舌を出して家の中に歩いていった。
「ナナリの意地悪」そう言って頬を染めて口を緩ませていくエリシアは本当に愛らしいです。
怒った顔もめっちゃ可愛いです。本当に可愛いです。
まぁ、彼女が俺に対して本気で怒ったことなんて全くないんだけどね。
沢山喧嘩はしたけれど。
俺も、家の中に入っていく。この世界で家の中では靴を脱ぐなんて文化はないが、この家だけは別である。というか俺がそうした。
まぁ、靴はほとんどオンボロものしかないけれど。それにあんまり必要な人がいない。
靴を脱いで、二階ある我が家一階。そこにある1番大きい部屋。台所と並列してあるそのリビング部屋にはいっていく。
すでにさっきの2人を含めて14人の姿が見える。
そこの半分以上は歳が10にも満たない子供達。そして彼らは全員人間以外の種族だ。
人間ではない種族、この国では彼らは亜人と呼ばれている。
彼らは全員、俺が、助けてやったもいうのはおこがましいかもしれないけれど、この家で保護している人達だ。
都市部にいる人達ほど、人間以外の人達を蔑視する傾向が強く、大都市であり、中央都市なんて呼ばれてる帝都ではその傾向が一層強くなる。
この帝都では、彼らは殆ど仕事に就く事が出来ないし、就く事が出来たとしても安全に過ごすことが難しい。
なぜなら、彼らはお金になるからだ。
この世界では奴隷という制度があり、そよ名の通り人をお金で売買する商売が存在している。
そして、人間の1割程度しか存在しない彼らは珍しく欲しがる人が多いのだ。
例えばエルフ。エルフはその美貌から性奴隷として取引される事が多い。
獣人は、その…あそこの具合が良いらしく、また性奴隷としての需要が高い、また身体能力も高い為、戦闘奴隷、労働奴隷としても使えるのだ。
それで、亜人を捕まえようとする犯罪者、盗賊などが多く存在し迂闊に姿を見せる事が出来ないのだ。
それで、盗賊達に追われている所を助けたり、飢えているところを助けたりしていた。
別に救貧院とかそういう訳ではない。ただ、そうしたいとその時に思ったからそうしたのだ。
救貧院なんてやったら、この国ではどうなるのか分からない。
この活動だって、危ない綱渡りのようなものである。
ここが襲われたらどうなるか…
「ナナリだ! おかえり!今日の分終わったよ!」
「おかえり!今日ね、これ作ったんだよ!見て見て!」
「ちょっと!押さないでよ!」
「ねぇ、今日はアニーちゃんがね!」
「これ!私が作ったんだ!あげる!」
俺が入ると、何人か元気な子供達が集まってきて話しかけてくる。
ある猫の獣人の男の子は俺を労ってくれて、あるドワーフの女の子は俺が渡した物を使って何か作ったと報告してくれ、ある竜人の女の子は集まって来た子に挟まれて声をあげ、あるウンヴィーネの男の子は好きな女の子の事を報告しようとして、ある熊の獣人の女の子は何か作ってプレゼントをくれる。
正直言って、子供は好きじゃない。煩いし生意気だし、暴れたりするし…色々好きじゃない。
でも、嫌いでもない。
彼らがこうやって、俺に話しかけてくるのは今日も頑張ったなぁと実感させてくれる時でもある。
「ちょっと!みんな!待ってなさいよ、ほら離れて離れて。ナナリさん困ってるじゃない。」
エリシアがこっちに来て子供達を俺の前からどけてくれる。そして、俺は彼女ともう1人とご飯を作る準備をするのだ。
俺は、半年前この世界に来た。
俺は元々この世界の人間ではない。
ナナリというのは俺の苗字。七里侑斗のナナリだ。
朝学校に行こうと思って、家を出た瞬間にこの国の帝都に居たのだ。
あの時の恐怖、困惑は、多分俺が楽観主義な部分が無かったら乗り越えられなかったと思う。
夢の世界が現実となった時は、本当は恐怖が来るんだと分かった瞬間だったよ。
最初は今のようには暮らせていなかった。
今は何人もの食費を稼げるようになったけれども、最初は何もわからず、一文なしの状態でずっと空腹で、ホームレスのような暮らしをしていた。
何度、暴力に晒されたのか。何度、人に騙されたのか。何度、空腹に倒れたのか。
本当に分からない。
それでも、何人かを助けようとしたのだからお金なんて全然たまらなかった。
それは当たり前だろう。元から金もないのに何やってんだかって感じだ。本当にバカでしかないと自分でも思う。
俺は、正直言って善人でも何でもない。昔は善人だったのだろうけれども。
彼らに同情したのかは分からない。自分でも。助けているは不思議だ。
お金がない状態で手を差し伸べるのだから、本当に大変だった。
ご飯はひもじくしか食べれないし、働き始めたのに碌な建物に住めないし。
ご飯も食べれない時もあったし。
でも、こんな風に暮らせてるのは、ラミナ、エリシア、あと1人のお陰だ。
彼女達は迂闊に外に出られないから、仕事なんてする訳にはいかないのに、俺はその事を責めたこともある。俺は本当に最低だった。
彼女達は、悲しそうな顔をしたけれども、喧嘩しそうになったけれども、喧嘩もしたけれども、何があっても彼女達は俺を許してくれた。
彼女達が辛い時に励ましてくれたから、大変な時に手伝ってくれたから、だから俺はこうして今も生きていられるんだと思う。
本当に彼女らのお陰で助かった。
ん?何で1人だけ名前言わないのかって?
それはね、彼がイケメン過ぎるからだよ。
いやね、分かってるんだよ。分かってるんですよ?
そんな事言っといて心が狭い人間だって。でもねエルフの彼は俺の理想の顔、理想とは違うけどすごくかっこいい性格してるんだよ。
俺だって人間だもの。だから嫉妬くらい許してね?
まだ、設備もあまり整ってなくて、あんまり良い食事は出来ない。
シェルユともう1人のエルフの男、ウルナドとご飯を作って、子供達とラミナ、他の10歳以上の子に並べてもらったテーブルに座って食べ始めた。
騒がしくも賑やかな空間の中で夕食を食べ終え、他の相手と談笑した後、俺は家の外に出ていた。
空はもう月が光っていて、星々が空に輝きを放っている。
ここまで奥まった場所だと逆にスペースが空いていて、家の玄関とは反対側の裏口側には公園程のスペースが空いている。
ちょっと黄昏て、裏口の扉を開けて段差になっている場所から空を見上げていると後ろから、声が掛かった。
「ナナリ。ちょっと隣座るぞ。」
そう言って、俺の宿敵、ウルナドがやって来た。くそぅ、こいつは本当にイケメンだ。
声もなんか渋いこえしちゃってるし。顔もかなりの美形だし、性格も良いし。
羨ましいぃーー!
まぁ、なんて言ったって、ご飯食べる時も対面でご飯食べてるし、この世界に来てからの親友でもあるんだけどね。
「なんだよ。」
「おい、どうした?睨むなよ。」
おっとっと。俺とした事が情けない、目が勝手に睨みつけていたようだ。でも俺は悪くないよね?君がカッコ良いのが悪いんだもの。
嘘だよ。ごめんなさい。俺が悪かったです。
「で、どうしたんだ? あいつらはもう寝たか?」
この時間帯になると年長組とは違い、体の小さい子供達は殆どが寝ている。
俺も最初は、子供達を寝かせつける役だったんだけど、下手だったし人数もそんなに入らないからと、変わらさせた。
ちなみに、ウルナドも仲間である。
俺がそう尋ねるとこいつは「あぁ、殆どの奴らが寝たよ。まぁ、ラミナも寝てるけどな。」と言った。
おい、ラミナも寝てんのかよ…。まぁ良いんだけどね。別に何があるって訳じゃあるまいし。
年長組はみんな寝る場所を分けるけど、子供達はみんな同じ部屋で寝る。あのさっきご飯を食べたリビングだ。
ボロいけど大きい家買った。でもさすがに十何人も部屋を分けられない。
「用はない。ただ涼みに来ただけだ。」
「そうかい。ちょっと離れて座れよ。」
ウルナドは、俺の返事を聞かずにすぐ隣に座った。
まぁ、いいかと。俺は喋り始める。
こういう時、こいつが後から来るのに、喋り始めるのはいつも俺がこうやって喋り始めてしまう。
このっ!イケメンめ!
「やっと砂糖が売り出せるようになった。そして、今はちゃんと暮らせていけてる。」
「そうだな。」
「これで、多分、お金に苦労する事ないだろ。」
「あぁ。」
「本当に頑張ったよなー! やっぱり俺天才だろ!」
「そうか?」
おい!なんでそこで疑問なんだよ!
「そこは、頷いて俺の事を認めてくれる流れだろ!」
「悪いな。」
「悪りぃって思ってなそうだなー。その返事。もうちょっと俺の事褒めてくれても良いんじゃないのか? はっは。照れ屋さんな男は需要ないぞ?」
「何言ってんだ?ナナリ。」
「おい、ウルナドさんや、どこかで話に乗ってくれても良いんじゃないか?」
「すまん。よく分からん。」
本当にこいつって、口下手なんだよね。ちょっと冗談とか乗ってくれても良いんじゃないですかねぇー?
まぁ、それがイケメンっぽいんだろうなぁ。ちっ。
「ナナリ。確かに、お前は天才かもしれん。砂糖の作り方なんて俺は全く知らなかった。それに、一番は路頭に迷っていたようなあいつらをあそこまで元気にさせた。俺には出来ないことだ。」
こいつはこうやって、不器用ながらも真っ直ぐに伝えてくる。本当に面倒くさいやつなんだよねぇ。本当に不器用で、頑固で、面倒で、真面目なイケメンなんだよ。
マジ照れちまうわ。
「うっせー。」
「ん?悪かったな。」
このイケメンめ。こいつは本当性格までイケメンだよ。
「でも、エリシアは俺のものだからな?」
「何言ってんだ?」
「エリシアは渡さないぞ。」
「おい。」
「取ったら許さないからな。」
これだけは絶対だ。エリシアは絶対に渡さない。ラミナも絶対な。俺はあいつらが大好きなんだよ。このイケメンには絶対渡さない。
すると、後ろの扉からガタンっと音が聞こえた。
…誰かいたっぽい。ラミナら寝てるから…年長組でここに来るのってエリシアぐらいだよねぇ。
うんーん。
やばいわぁー。
恥ずかしいわぁー!
どうしよぉ〜ー!
「ナナリ。取る取らない以前に俺は別にあいつの事なんて思ってないぞ。その前に、エリシアはお前の事が好きだと言ってたじゃないか?」
俺が悶えてるとこいつは立ち上がって、そう言った。
「おい、ナナリ。いつまでそうしている?早く始めるぞ。」
…………。
「あぁ、分かったよ。」
気持ちを切り替えて、いつもの日課を始める事にした。
これから始めるのは魔法の練習だ。いつも子供達が寝静まった後にこうして2人で始めている。
始めたばかりの頃は魔法を発生させる事が出来なくて、その練習ばかりしていたのだが、最近になってようやく魔法の発動が出来るようになって来た。
今では、初級魔法の殆どと中級魔法を幾つか発動出来る。
魔法。
魔法とは、この世界特有の超常現象である。
魔法には2種類ある。それ原始魔法と通常魔法である。
もともと、魔法というのは人間には使えないものだったらしい。
エルフなどの魔法に優れた種族のみが魔法を使えていた。
けれど人々は、戦力にもなり、生活にも役立つ魔法が自分達にも使えないかと考えた。
一番始めに行なったのは、魔法を使える種族の取り込み。ここではかなりおぞましいことが行なわれたそうだ。ちなみに、ここで他種族へ人間の潜在的な差別が始まったのだと俺は思う。また、他種族の人間嫌いが始まったのだとも思う。
そして、それでは人間は魔法をつかえなかった。
人間は、他の分野などを差し置いて魔法という現象を分析し実験し、詠唱や魔法陣という形で魔法を使えるという事にたどり着いた。
これを普通魔法という。その為、普通魔法には詠唱などが必要不可欠だ。
そして、原始魔法。これはエルフなどの種族のみが使える魔法。原始魔法はその名の通り全ての魔法の基礎となるような魔法だ。
例えばエルフなら、彼らは風の属性、適正が高く風の原始魔法を使える。
これには、詠唱などは必要なくただ、自分の感覚で魔力を動かすだけでいいのだそうだ。
マジづるい!
そう思ったのだけれど、なんと!俺も使えました!ビックリです。
これを使えたときは、ウルナドもかなり驚いてました。しかも、火、水、風、土の全てが使えたのです。本当に最高でした!
まぁ、一つ一つの属性はそれを得意とする種族のものより低いらしいです。
あと魔法がどれくらい使えるのかは魔力というものの量によるらしい。
魔力とは、知性のあるものの肉体に宿る魔法の元となる力だそうだ。
だったら頭良いほど魔力って高いの?と思ったが別にそうではなかった。魔力が多いかどうかは殆どが遺伝によるものだと言っていた。
魔力という力を使って魔法を発動する。
その為、魔力を多く宿すほど力が使えるそうだ。
じゃあ、俺はどうなってんの?と思うけれど、日本から来たのだし考えてもしょうがないから考えない事にした。原始魔法が使えるのもその辺りが関係してくるのかもしれない。
ちなみに、魔法はほとんどの人が使えない。しかもそれは、ただ魔力があるってだけで使えるかどうかの判断で。本当に職業につかえるのはその50人に1人だそうだ。また、戦闘に使えるのはその中でも10人に1人なのだとか。
大国であるこの国でも人数換算すると戦闘が出来る人は10人くらいなんでは無いだろうか?
基本的に魔法は、物作りに役立っているイメージしかない。
それもまだ、発展していない。
代表的なのは光を宿す魔法くらいかな?
後は、魔法具という魔法を魔法式という形でその効果を付与させた道具もあるか。
でも、戦闘には、詠唱という媒体が必要な魔法は音がほとんど聞こえない為まず使えないと思うし、魔法陣なんて戦場じゃ描けないのがまだ、大量に人が死ぬことがない救いであるだろう。
基本的に、ウルナドには原始魔法のやり方を教えて貰っている。普通魔法は何とか唱えるだけでなるのだが、本当に原始魔法は操るのが難しい。
普通魔法は唱えたあとは殆ど自動的にその魔法が発動するが、原始魔法は魔力そのもので現象を変動させるのだ。
魔力を使う感覚は、何とも言えないような第六感のようなものが内から外に出て行く感じがする。
ウルナドと一緒に風の原始魔法を使って空き地に竜巻のような物を起こす練習をする。
こうやって今、慣れるまでは、気持ちの良いものではなかった。
竜巻の操作は風の原始魔法ではかなり困難なものらしく俺は殆どできない。
そして今度は、ウルナドにああだこうだ言われながら練習した。
ちなみに、夜に風の魔法の練習は結構寒いです。
翌日、俺は二階の部屋のベットの上で目が覚めた。
ベットは固く、正直言ってあんまり疲れは取れない。
これは元々家に備えつけてあったものだしね。
多分下で寝てる子供達の布団の方が良いもの使ってる。
昨日は魔法の練習をした後、身体を拭いてその後寝巻きに着替えて寝たのだ。
ちなみに、ウルナドと俺の部屋は一緒である。
まぁ、ボロ屋だし1人部屋なんて贅沢なんて言ってられないしね。
でもね、おれやばいんだよ。分かるかな?部屋にね他人がいるの。分かる?溜まるんだよ。
それが最近の悩みです。
もちろん、やってませんよ?おれは常識人ですからね。他人がいる部屋で内緒でもやりたくないでしょ。しかもエルフって鼻がいいらしいし。
やっぱり1人部屋が欲しいです。
ウルナドと俺は、俺の方が朝は早い。
起きるとまだ朝日は登らず、部屋は薄暗い。
大きな音を立てないようにして、子供達が寝てる部屋まで歩いて行く。
子供達は、皆安らかとはまだ行かないものの良く寝ている。ただ、その真ん中にラミナが寝ているのはどうかと思うけどね。それに完全に服が捲れてるし。
お尻の下からしっぽもみえて、身体の方もおへそから胸まで…桜色の…。うん。何でもない。
何でもないですよ?
本当に思春期の男って最低だと思います。
最高だとも思ってますが。
さて!みんなの朝ごはんでも作りますか!
あんまり豪華なものは作れないけれども、栄養がちゃんと取れてお腹も膨れるぐらい食べれるような料理を作ります。
まぁ、スープとパンとか何だけどね。
あ!でも、やっと最近、毎日お肉を全員分食べさせてあげられるようになったんです。
これも、砂糖の作り方を獲得したおかげてすね。
この世界だと砂糖って高級品だからね。誰もが食べられないってわけじゃないけど、おいそれと手が出せるくらいの値段でもないし。
まぁ、効率の悪い作り方何だけどね。
大麦からモルト状態にして、大麦のアミラーゼを使ってでんぷんを含む食べ物と一緒に蒸すってわけじゃないけど温めて反応させていくんだよね。
本当に良かったよ。勉強しておいて、まぁこれは大学受験の知識だったからね。
多分、これからもっと売れるんじゃないかな?そうすれば良いとこに引っ越しできるかもしれないし。
俺の悩みも消えるかも知れない。うん、これ本当に重要だ。
元々、彼らを助けているのは…理由なんてないし。
引っ越してもなんとかなるだろ。そんなにお金貯まったなら。
そうして、みんなの朝ごはんを作り、エリシアやラミナ、ウルナド、他の子や子供達も起きてきて賑やかにご飯も食べました。
食事中、「ナナリのばかぁ」と言って頬を赤らめるエリシアは本当に可愛かったです。
絶対、他の人にはあげません。
ご馳走様でした。
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