問題

 私と彼は、昔近所に住んでいてよく遊んだ。付き合いは彼が引越しをしてしまうまでの短い間だったが、物知りで活発な彼を私は兄の様に慕っていた。

彼が旅立つ日は、行かないでくれと駄々をこねて困らせた。彼はそんな私へ、またどこかで会えるよと言った。

結局、異国の地に渡った彼とは疎遠になってしまったが、美しい思い出であり、友情は永遠と思われた。

 しかし、再会を果たした現在、我々は互いに銃口を突き付け、にらみ合いを続けている。

いったいどうしてこうなったのだろうか。

一つあきらかなことは、これは憎悪といった理由による結果ではない。私は誓って彼を恨んだことは無いし、この引き金も願わくば引きたくはなかった。きっと彼も同じ気持ちだった。なぜなら私はまだ生きている。

後悔先に立たず。私は思う、彼と仲良くするべきではなかった。私と彼の国籍が違っていたとは知らなかった。ましてや、こんな場所で再開するとはつゆほども思わなかった。

 遠くで銃声が鳴り止まない。早く援護に向かわなければ、ここは戦場である。

引き金を引いたのは同時だった。

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