月明かりの綺麗な夜に
龍月
第1話 月光
その晩の月は他には無い、と見る者に思わせる様な程見事な満月だった。季節は冬ともあって夜気は澄み渡り正に雲一つ無い夜空、と言った様子、その月明かりの見事な輝き振りと言ったら・・・
そう、まるで地上を照らすスポットライト、何もかもがこの夜にはそのシルエットを隠せず心なしか怪しい艶すら見せる景色と見える。
冬の公園の遊具すらも月光に影を落としそんな夜の演出に加わって居る。例えばそこのジャングルジムとかも・・・ん?ジャングルジムの一番上の段に何者かのシルエットが浮かんでいる、一体何者?シルエットからするとどうやら女性の様だ、それもかなりのイイ女、と、見受けられる。
が、少し何かが変だ、確かにイイ女、だが、女の口角の辺りに何かが光って居る。凄く切れ味のイイ刃物の先端に月明かりが反射して光を放っている様な・・・あれはもいかして牙?まさか、普通に考えても牙が生えた女?有り得んな・・・が、確かに牙に見える・・・まさに、まさか、で在る。いや、待てよ?よく刮目して見ると女の周りには何やら霧の様な靄の様な・・あれは何だ?
かまるでこの牙を生やした女を護るかの様に周りを取り囲んで居る。いや、まるであの女が靄を着ている様にも見えた。そして牙を持つその女は何者かに話し掛ける様に話出した。一体誰に?辺りには人影処か何も居ない、在るのは女の周りの靄だけだ。
「ねえ?いい加減に何とかならないの?満月の夜が来る度にこれじゃ、マトモに暮らせないってのよ」独り言?いや、そんな感じには聞こえなかった。では、誰と、いや、何と会話しているのか?まあ、良い、そんな事もこの様な晩には在っても可笑しくもない出来事、この様な晩ってのはって?それは夜空に浮かぶ月が満月の夜、月光が地上に目映い程降り注ぐ、月明かりの綺麗な夜
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