ダークサイトはラブコメ男子の胸の内

@onionstyle

出会いと能力値

第1話 「ぼ、ぼ、僕は君と闘いたいんだ!」と口に出してふと君と一緒に闘いたいのか、君と対決したいのかあやふやだな。とか考えた瞬間彼女の必殺技ダークサイトスピナーが僕の体を貫いた。 「Winnerエリス・生天目!」場内にアナウスが響き渡った。


僕の名前はトール・山田。滑り込みでここアビーエプロイト学園になんとか入学できたヘタレ能力者だ。この学園は異能の力を持つ能力者を成長させるための学校。そして今その能力を叩き込んできたのが主席入学者のエリス・生天目だ。眉目秀麗、才色兼備という言葉を擬人化したらこうなりましたといった・・・言わすな恥ずかしい。そうだよ、惚れてるよ、片思いだよ、この野郎!

そんな彼女と僕がなぜ闘うことになったのかは追々語っていこう。

この学園は能力が全てだ。

圧倒的なパワーの能力、様々な応用が効く能力、その人しか発揮できない特殊な能力、いくつもの力を掛け合わせた能力、そんな能力を持った者が上位カーストに属し、僕みたいな小さく才能がある者なら誰でも所得できる能力しか持っていない者は上位カースト者に従って過ごすしかない世界。それが嫌なら努力して能力を伸ばすしかない、それがこの学園のポリシーであり掟だった。なぜならまだまだ能力についての研究は未知の部分が多く実際は発揮できる者に頼っているのが実情なのだから。


「怪我はないか? まぁ仕方ないよ。お前と彼女じゃ月とすっぽん、神とわらじ虫、黄金と砂鉄、高級ワインと水たまりほどの差があるんだから」

と話しかけてきたのは悪友のベル・松岡。同じ寄宿舎の同じ部屋の所謂ルームメイトというやつ。あっこの学園は能力開発の漏洩を防ぐ意味で全校生徒が寮生として能力種類別に5棟の寄宿舎に寝食を共にしている。もちろん能力が高いほど部屋のレベルが上がり寄宿長ともなれば高級マンションの一室かホテルのスイートルームかといった様だが、僕たちクラスになると雑魚部屋という表現がピッタリな素敵なお部屋になる。

ちなみにエリス・生天目は女子寮の総寄宿長、つまり女子生徒のトップだわな。何でも部屋にはジャグジー付きのバスルームやうちらの部屋と変わらない広さのクローゼットがあり、それらは専属のメイドが維持管理しているらしい。

バスルームやクローゼットは要らないがメイドさんは羨ましい。一人分けて欲しいところだ。


「あぁ大丈夫だよ。僕が唯一自慢できる力、ダークスポイトがなんとか守ってくれたから」

僕の能力はダークサイトと呼ばれる別世界と繋がる力。基本的にはエリス・生天目と同じだが彼女はダークサイト世界から様々なエネルギーや物質を自在に出し入れ出来るのだ。わかりやすく言うとこの世界の理が全く通用しない力を持っているということ。

対して僕は自分に向けられた力の一部をダークサイトに送り込むことしか出来ない。めちゃくちゃ受動的な力なんだよな~。しかも送り込める量がめちゃくちゃ少ない。

学園の能力判定だと彼女はオーバー10で僕はバリバリの1。まさしくベルの言う通りだ。

「とりあえず部屋に帰ろうぜ」

「あぁそうだな。ギャラリーの目も痛いしな。」

僕はまだ少し痛む体を引きずってベルと部屋に帰った。


ダダダダダダダダ、ドーーーン、バフウッ!

何かが何かが僕の顔に飛びついてきた!

「寂しかったよ~~~ん」

その声で全てを理解した。

「釘宮、この!」

「あったり~。そう君の幼馴染みで恋人で彼女で美人で学園一の美少女、ルイス・釘宮様だ!頭が高い、控えおろう!」

 幼馴染みは正解だが、他は全て不正解。恋人というより妹に近い存在で、美少女というより元気印の男の子がどこでどう間違ったのか女の子に生まれちゃったみたいな色気もパイパイもない娘なのだ。

 「はいはい、その釘宮様が何のご用事で男子寮に潜り込んで来たんですか?」

「そんなことは決まっておろう。宿の題があるのじゃ」

「はい、さようなら。またのご来店をお待ちしております。」

「待て待て待て~ぃ。お主、そんな態度とってよいのか?  実はお主が帰ってくるまでこの部屋を物色してたらこんな面白いものが見つかっての~」と言うルイスの手には数枚の写真が!?

「これはあれか?エリス・生天目とかいう乳おんなの写真じゃのう」

「お前が無いからって乳おんなとか言うんじゃねぇ!」

「で、で、で、こやつはお主の何なのか?何なのかぇ?」

「な、何でもないよ。ちょっと可愛いかな~と思った、ってその写真もベルの野郎が勝手に持ってきたんだから!」

「って、俺がどうしたって?」とベルがノックもせずに入ってきやがった。

「ノックくらいしろよ!」

「これでも夫婦喧嘩の一番面白い場面を防いでやったんだぜ。むしろ感謝・・・」

「夫婦喧嘩じゃねー!」

「不束者ですが今後ともよろし・・・」

「お前は黙ってろーーーーー!」


こんなダークサイドな日常がこれからも続くかと思うと・・・






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