第20話 お疲れさまの焼き肉パーティー会
「今日は皆さん、お疲れ様でした。皆さんの頑張りで<作家でたまごごはん>のサイトも無事、復旧しました。乾杯!」
坂本マリアがグラスを掲げて乾杯の挨拶をした。
「乾杯!」
派遣+アルバイト軍団がグラスを合わせる音が響き渡った。
めいめいに焼き肉をつつきだすスタッフたち。
お疲れさまといい合い、労い合う人々、それを横目で見ながらメガネ君は坂本マリアに話しかけた。
「マリアさん、ショートショートコンテスト入賞おめでとうございます」
「あれ、何で知ってるの? ネットで見たの?」
マリアはお酒で少し上気した顔でメガネ君を見つめ返した。
「そうです。『魂の彷徨い人』ですか、あの作品はなかなか良かったです。マリアさんにしては地味な作品ですが、何というか、島原の隠れキリシタンの主人公の心情がとても心に迫るものがありました」
メガネ君は珍しくマリアの作品を誉めた。
オタクすぎてこだわりが強すぎて、そもそも他人の作品を評価したことがないメガネ君だった。
「メガネ君って、飛騨さんの『聖徳太子の
マリアは酔った目でメガネ君を見つめて茶化した。
「いや、僕も色々と面白いなという作品はあるんですよ。ただ、言わないだけです。この『プラグの空』作者:退魔師見習いさん(http://ncode.syosetu.com/n2672ct/)なんかもいいですよ。効率的過ぎる社会は時に人に生きていても死んでるような実感を抱かせる。ニホンサンライスの『機霊界ガラリン』というアニメを思い出しました。あれも反乱分子による反逆の物語でしたからね。竹取圭子の『
というようなマリアには着いて来れないような感想を言ってしまうメガネ君であった。
「『ガラリン』?は分からないけど、竹取圭子の『
マリアは時折、
「マリアさんって、ハーフとかなんですか? それともカラコン?」
メガネは不思議そうな顔で質問した。
「あ、これね。クォーターよ。おじいさんがヨーロッパの方の生まれでね」
マリアはそこでビールを一気に飲み干した。
「今日は飲みましょう。マリアさん、ひとまずは解決ということで」
メガネ君もビールを飲み干した。
「そうね。今日は飲みましょうか」
マリアの微笑みは慈愛と悲しみに満ちていた。
まるで聖母マリアのように。
メガネ君はマリアの横顔をいつまでも見つめていた。
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