第64話 株主優待
オフ会は京都の妙心寺の
1595年に信長の長男信忠の次男である津田秀則が建てた|見性院(けんしょういん)が始まりである。彼の死後、
近くには桜の名所でもある定番観光ルートの龍安寺、仁和寺などもある。
そのためか、比較的観光客が少なく、抹茶とお茶菓子が振舞われる美しい庭園があり、穴場的な観光スポットになっている。
飛騨一行は京福電鉄北野線で妙心寺駅に向かっていた。
「メガネ君、この株主優待って何?」
神楽舞は移動中も<バリュースター>を眺めていて、メガネにいろいろと質問してくる。
「それは<バリュースター>を買ってくれた人へのサービスというか、要するに株主優待ですね」
全く説明になってないような気もする。
「なるほど。で、どんな株主優待がいいと思う?」
舞も分かったつもりになっている。
「有名人などの場合、メッセージアプリの『LIME』のIDを教えるとか、オンラインサロンに招待するとか、実名SNS『フェイスリスト』で非公開グループに招待するとか、一緒に焼肉食べるとか、ランチおごるとか、サインや握手会などで、お近づきになれる権利などを株主優待にする場合が多いですね。そんなものが必要ない有名人もいます。一般的にはツイッターで情報拡散とか、値上がりしそうな<バリュースター>を教えるとかですかね。<バリュースター>ははじまったばかりだし攻略法も確立してないから、売り方、買い方、使い方なども需要がありますね。バリューコインの動向情報なども需要がありますね。ここの所、値段が三倍になったり、調整の値下がりしたり、8/1には中国のIT企業が『バリューコインの分裂騒ぎ』も起こしていて動向が気になる人も多いと思います。それから、その人の得意なこと、専門分野についてアドバイスするとか、例えば、カメラマンならその人をモデルにして撮影するとか、ジャーナリストならブログ記事にするとか、IT業界の未来予測とか、海外在住の情報提供とか、似顔絵を描くとかさまざまです。舞さんの場合は『お嬢様は悪役令嬢』を売るためにサイン会、握手会、即売会を今回、企画してみました」
メガネ君はいつものように丁寧に説明した。
「そっか、ありがとう。サイン会、握手会、即売会でいいのか。でも、もうひとつ何かないかな?」
調子に乗った舞は高望みをする。
「うーん、『お嬢様は悪役令嬢』を売るということなら、<バリュースター>保有者にもれなく本を配るというのもありですね。有無を言わさず配ればいい。<バリュースター>保有者=神楽舞ファンであり、本は当然、欲しいだろうというごく自然な流れです。それでいて、1
「それは凄いアイデアだわ! メガネ君、あなたは昔からできる子だと思っていたのよ。凄いわ!」
おそるべき錬金術というか、自転車操業というか、なんというか、舞の感激は頂点に達するのだった。
何となく絵に描いた餅感が漂うが、本人が喜んでいるのだからいいだろうとおもうメガネ君だった。
その隣で<バリュースター>一位の人気者コスプレイヤーの<さえさえ☆>は乗客からサインをねだられて人だかりになっていた。
飛騨亜礼はいつものダークブルーのサイバーグラスに黒いスーツのおかげでマネージャーに間違われていた。
何ともシュールな光景である。
(あとがき)
今回もVALUの仕組み解説編になってます。
ネタはいっぱいあるのですが、暑さで疲れてるためか、毎日更新は体力的に大変なためか、ひねりもなく文字数も少なめになってます。
人工知能社会について考えたりするのですが、AIによって職がなくなる人もいれば、AIに学んで29連勝して活躍している将棋の藤井聡太四段(14)もいるわけで、上手く活用する方法はないものかと考えたりしてます。
藤井四段「29連勝」! 「AI」で磨いた「序盤・中盤力」--村上政俊
http://www.huffingtonpost.jp/foresight/29ai_b_17302174.html
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