第六章 《複垢調査官》飛騨亜礼の華麗なる帰還
第51話 新ネット小説投稿サイト《ヨムカク》
「あなたが噂の《複垢調査官》
新ネット小説投稿サイト<ヨムカク>を運営しているH社のJK氏が口を開いた。
そこは京都のとある高級料亭である。
JKは何故かサングラスをかけている。
隣には若い可愛い女の子が座っていた。
幻想的な黒い切れ長の瞳が印象的で、全体的に小づくりな感じでガラス細工の人形のような儚さを漂わせていた。
白いワンピースの清楚なドレスを着ている。
首には真珠のネックレスが輝いていた。
「《複垢調査官》というのは
飛騨亜礼はいつものダークブルーのサイバーグラスをかけている。
隣には人気ネット小説投稿サイト《作家でたまごごはん》運営の
一番端にアリサがちょこんと座っていた。
今日は妙におとなしく、黒髪を高く結い上げていて黒い喪服のようなスーツを着ていた。
気まぐれな猫のような青い瞳が美しいが、父親がフランス人らしいと聞いている。
首にはサファイアとルビー、ダイヤモンドが散りばめられたネックレスをしてた。
若干、派手だが、いつもの合コンモードではない。
「アリサちゃん、今日はどういう用件なの?」
神楽舞は京都のIT企業のパーティでアリサに知り合い、たまに一緒に合コンに参加してる仲だが、飛騨君には秘密にしている。
アリサはIT企業の友人ということになってる。
本当はまだ女子大生である。
「JKさんが舞ちゃんと飛騨君に相談があるというのよ」
アリサはいつもの猫なで声で答えた。
無駄な色気を出さないで欲しい。困ったものである。
「そちらの美しいお嬢様のお名前は?」
メガネ君が余計な質問をした。
「これは失礼した。紹介しよう。彼女は新ネット小説投稿サイト<ヨムカク>の運営を任している
儚げな瞳を潤ませて上目遣いで会釈した。
メガネ君の目がはーとになっていた。
飛騨はいつものサイバーグラスで表情は伺い知れない。
が、口元が少し緩んでいる。
これだから男ってと神楽舞は心の中で舌打ちした。
「相談というのは<ヨムカク>のことですか?」
飛騨は単刀直入に切り出した。
「そうです。Wooooooo!<PERFECT RIEMANN>!」
その時、JKはサングラスをかけたまま、首をかしげるような仕草をしながら、突然、叫んだ。
次の刹那、アリサの鋼鉄のヨーヨーがJKの頬をめがけて放たれた。
しかし、驚いたことに白い鞭のようなものがヨーヨーを空中で迎撃して打ち落としていた。
「アリサさん、お行儀よくして下さいね。私がいる限り、社長の頬には指一本、触れさません!」
白い鞭の持ち主、神無月萌は京都人っぽい狐のような切れ長の瞳を煌かせながら吼えた。
低音のドスの利いた声に、メガネ君は『トイレに行きます』と言って席を外した。
足がガタガタ震えている。
「あなた、若いのになかなかやるわね」
ペルシャ猫のようなアリサの青い双眸が爛々と輝いている。
というか、アリサちゃんは20歳だし、萌ちゃんは確かぴちぴちの24歳だったはず。
自分が年上のような上から目線のアリサの態度に神楽舞は呆れるしかなかった。
私?年は言えないわ。悪かったわね!
「ともかく、社長、いくら<PERFECT RIEMANN>に嵌ってるからと言って、突然、モノマネしないで下さいね」
確かにそうよ。アリサちゃんがヨーヨー飛ばしても無理もないわ。
「萌君もアリサちゃんも手厳しいな。わかったわかった。Wooooooo!<PERFECT RIEMANN>!」
JKはサングラスをかけたまま、首をかしげるような仕草をまたやりやがった!
アリサの鋼鉄のヨーヨーと萌の白い鞭が空中で再び交錯した。
一瞬、火花が散る。
「いや、お恥ずかしい限りです」
神無月萌は流石に恐縮して頭を下げた。
そんな感じで宴は和やかに進んだ。
メガネ君はしばらく帰って来なかったのだが。
飛騨亜礼も、翌日から新ネット小説投稿サイト<ヨムカク>の調査に行くことになった。
だが、彼の前に想像超えた恐るべき小説が現れることを、彼はまだ知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます