第50話 いろいろとストーカーな人々
そこは<作家でたまごごはん>の会議室である。
神楽舞の正面で、細面の顔にどじょう
無論、織田信長である。
その右隣には人を何人か殺していそうな
神楽舞の手前にはメガネ君こと服部新三郎がいたのだが、めんどくさいので、やっぱり、メガネというあだ名で呼ぶ。
「<刀剣ロボットバトルパラダイス>やってたら、火星ステージに飛ばされて、龍頭のボトムウォーリアーに襲われて、憑依されてた織田信長さんが助けてくれた、まとめるとそんな感じですね?」
神楽舞は事務的に言った。
「で、この人たちは?」
事情は何となく分かっているが、メガネに聞かずにおれなかった。
「俺は飛礼同盟の副隊長ですから、メガネ隊長の機体のマーカーに反応して、いつものように後を追ったんですよ」
ザクロが聞かれもしないのに答えた。
「あたしもメガネ隊長の機体マーカーを見たんで、いつものようにちょっと話でもしようかなと思って」
ハネケが続く。
「僕はハネケさんの機体マーカーを見たんで、いつものように後をつけてみたんですね」
夜桜の発言だけはニュアンスが微妙なので、ちょっと全員の視線を集めたが、ほぼ言ってることは同じである。
「まあ、いいわ。みんなゲーム仲間なんだから。仲良しでいいわね」
神楽舞は冷静沈着に対応している。
「で、あの信長さまはどうすればいいの?」
神楽舞は一番の懸念材料に言及してみた。
「大変、言いにくいのですが、しばらく預かってもらえないでしょうか?」
メガネはおそるおそる言い出してみた。
「は? 何か、言ったかなあ、メガネ君?」
舞はとぼけようとしたが、絶妙ばタイミングで信長が助け舟をだした。
「清明殿から、京都での舞殿の活躍を聞き及んでいるので、わしも話がしたいのじゃが」
流石の神楽舞でも、第六天魔王といいますか、戦国の覇王の申し出は断りづらい。
「―――はい。ですが、私ひとりでは心許ないので適任者を呼んでも
意外というか、当然の提案だった。
「誰じゃ?」
信長は
「織田めぐみ。信長様の子孫に当る者と思います。素敵なお茶でおもてなしできると思います」
神楽舞はさらりと言った。
†
「ザクロ、ハネケ、夜桜、ありがとう。お陰で助かったよ」
メガネが安堵のため息をついた。
そこは、<サンライスカフェ>京都伏見桃山店である。
一般的には「めろんぱん」と呼ばれている食べ物が、西日本の神戸~岡山~広島地域では「サンライス」と呼ばれている。
ひたすら「サンライス」ばかりを、つまり、めろんぱん地獄に浸れるカフェチェーンで岡山が発祥である。最近の京都でもごく一部で人気だという。
「信長さまを、舞さん、めぐみちゃんに押し付けましたからね。ちょっと肩の荷が下りましたか?」
ザクロがメガネの本心を言い当てた。
眼光が鋭すぎる。
「ちょっと、気の毒だけど仕方ないわよね」
ハネケは
「でも、ちょっと、織田信長の話は訊いてみたかったです」
夜桜ひとりだけ、信長と過ごしたことがないので夢見がちな発言をしている。
俺にもそんな時代があったよなとメガネは懐かしくなった。
「意外とそばにいると疲れるよ。夜桜」
「どの辺りが?」
黒髪の好青年然とした夜桜が身を乗り出してきた。
カルピスを啜ってるのが妙に似合う。
「やっぱり、アレがねえ」
ハネケが透き通るような碧色の双眸をキラキラさせはじめた。
金髪とあいまって妖精然とした存在感があった。
夜桜は惚れ直した。
「駄洒落というか、ギャグがねえ」
ザクロも珍しく何か言いたそうだった。
「きっつーな感じなんだよ」
メガネは本当にきつそうな顔をした。
好物のダブルチョコサンライスをパクついている。
そのせいか、口の周りに髭のようにチョコがついている。
田舎の百姓のようにも見えた。
相当なストレスがかかってたことが想像できた。
「織田信長が24時間憑依してる状態って想像つく?」
とメガネ。
「つかない」
ザクロ。
「想像したくない」
ハネケ。
「きっつーーーー」
夜桜。ノリがいい。
「なかなかいいギャグじゃな」
信長。
「きっつー」
メガネ。
とても背中が重い。
(あとがき)
この話、幕間話ということで、これで終わりでいいかと思います。
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