異世界兄弟~見知らぬ人の妹となりました。~
かみゅう。
第1話 何でどうしてこうなった
私の16回目の誕生日パーティー。
何回も見た派手な服装の貴族たちが私を。
いや、私の家の権力を狙おうと2人組で踊っりながらこっちを窺う人達や、
ワイングラス片手に内側を探るような笑みを浮かべながら喋る人などがいる。
そんな中で私がいるのはそんな人達より少し高い位置、
それも誰よりも高い椅子に座ってだ。
隣にはそんな人達に囲まれている兄上。
私達より高い位置にいて現この国の国王。
つまり、私のお父様。
そんな中私はつまんなそうに呟いた。
「誰か私を救い出してくれる人はいないかしら・・・・・」
~~~~~~~~~~~~~
「・・・・・・・・・・はっ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・朝だ。
「なんか夢見てた気がするんだけど・・・・・珍しいなぁ・・・・・私が夢見るなんて・・・・・」
隣には昨日、徹夜したゲームのハードが転がってた。
他にもその、ソフトも当然の様に転がっていた。
「・・・・・まぁいいや」
私はベッドから降り、
「白に染まりし我が眼よ。開眼されし時、その力は開放される。さぁ!目覚めよ。この世界を我が色に染めてやろう!エーリウス、起☆床!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は毎日やっている「中二起床発声法」を行い、きちんと整えられた制服に着替え、家族がいる1階へ向かった。
~~~~~~~~~~~~
「おはよ~~」
そこにはいつもの様に母さんとお兄ちゃんがいた。
「おはよう」
「おはよう、絵璃」
ただ、1人の異常者を含めなければ。
「遅い、7時から3分遅れておる」
「うぇっ・・・・・なんでおじいちゃん・・・・・」
「なんでとはなんじゃ!いてもおかしくなかろう!?」
「いや、そういう事じゃなくて・・・・・」
少し家族の紹介をしよう。
まず、このうるさい爺ちゃん。
名前は七星轟 (ナナホシ ゴウ)
母さんの父さんで、とある拳法の現コーチである。
実は私は1回も勝てた事がない。
この家からとても離れた所に住んでいる。
次に母さん。
名前は七星恵美(ナナホシ エミ)
母さんはこんなにおっとりとしてお爺ちゃんとは真逆の静かで天然な人。
しかし、実態はお爺ちゃんの道場の師範で現当主。
母さんとは組み手はした事があるけれど、試合は1回もない。
ただ、お爺ちゃんが自ら席を譲るぐらいには強いらしい。
知らないけど。
最後に私の自慢で嫌いお兄ちゃん。
名前は七星璃来 (ナナホシ リク)
私より成績が良くて、友達も多くて、運動神経バツグンなお兄ちゃん。
お兄ちゃんは母さんの道場で修行中である。
大学でももう既に教師の方たちに一目置かれているらしい。
羨ましい。
自慢である。
いや、自慢できる。
しかし、好きにはなれない。
何故なら、嫌でも比較してしまうから。
自分がどれだけ大きくても、お兄ちゃんの前では霞んでしまうから。
私は好きという言葉は言わない。
~~~~~~~~~
「・・・・・・・・・・じゃからお前は続けることをすればいずれ恵美を超える逸材になるはずなのにおまえと云えば・・・・・」
あれ?そういえば、いつからそんな話になったの?最初、起きるのが遅い事で話してたでしょ?
「もう。父さん。娘を責めないでくれます?中神流にはこの子はもう関係ありません。」
「いや、恵美。そこがお前は甘いのじゃ。いつか、この子が育てば道場の未来は安定するじゃろう。」
これだ。爺ちゃんの悪い癖。
人の気なんて知らないで先々考えちゃう。
「絵璃」
お兄ちゃんが手招きしてる。
「早く朝ごはん食べないと、遅刻しちゃうよ?」
「あぁ・・・・・いっけない。」
「あぁ、今日の夕方頃に雨が降るらしいから傘持っていきなよ?風邪ひいちゃうから。」
「は~い。わかってるわよ。」
「よし、じゃあ僕も行ってくるよ。母さん。」
「あぁ、行ってらっしゃい。璃来。」
お兄ちゃんがリビングを出て、扉が閉まる音が響いた。
「じゃあ、私も行こっかな。」
食べ終わった皿を流し台に置きに行こうと席を立つ。
「絵璃!!まだ話は終わっておらんぞ!そこへ直れ!!」
「父さん?私の娘に迷惑でも掛けたら私でも怒りますよ。」
珍しく母さんが好戦的だ。
ヤバイな。
お兄ちゃん。早速、予報が当たりそうよ。
雷付きとかで。
「じゃあ、行ってきまーす。」
私は用意されていた弁当箱を手に取り、玄関へ歩き出した。
「あ、これ!絵璃!!」
「ごめん、爺ちゃん。話し聞いてたら遅れそうだから行きまーす。」
私はリビングの2人に手を振った。
「はーい♪行ってらっしゃい♪」
母さんは手を大きく振り上げ、大きな胸を揺らしながら心底嬉しそうに送り出した。
当然だろう。
今日は入学式。高校一年生になるのだから。
~~~~~~~~~~~~
「あぁ・・・・・いい空だなぁ・・・・・」
私は誰にも気づかれない程の小さな声で呟く。
いや、この子には聞かれていたらしい。
「絵璃ちゃん、また徹夜でゲームしてたのぉ?」
私の幼馴染み、黒崎星菜(クロサキ セナ)である。
私の幼稚園からの付き合いで、ついでに私の日課を唯一知っている子である。
「えぇ、マルガマナ樹海のラスフロのボスが強くて苦戦しちゃって・・・・・」
「あぁ・・・・・あそこ強かったよね。」
因みに、セナは私よりもガチゲーマーである。
私がゲームに感化されたのもこの子だった。はず。
確証はない。
「私達また、同んなじクラスだといいねぇ♪」
そう、この子とは何をするのも一緒だった。
クラスも、趣味も、買うゲームさえも。
ここだけ聞くと気持ち悪いかも知れないが、彼女は至って普通の子である。
「そうなると、いいわね・・・・・」
「あれ~?何か元気ないね。絵璃ちゃん。」
そう、たった今もやる気がどうにも入らない。
体がダルい訳でもない。
しかし、何故入らないのか検討もつかない。
「まぁ、いいや。早く行こ♪」
「えぇ。行きましょ。」
しかし、それと同時に内心ワクワクしていた。
それは、私の高校デビューも始まるのだから。
~~~~~~~~~~~~~
入学式。
異世界兄弟~見知らぬ人の妹となりました。~ かみゅう。 @kamyu
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