9
「だったら、名前を教えてくれねぇか?
お前が、自分の口から名前を教えてくれたなら。
どんなに変な名前だって、ちゃんと大切に呼んでやるから」
「う~~」
……このヒトに名前なんて教えていいのかしら……?
制服で、ドコの学校だかと学年がもう、判ってるし。
ついでに身元だってすぐ判るって言ってたけど……本当かな?
口を閉じたわたしに、神無崎さんはにやっと笑った。
「お、黙ったな。
別にいいぜ、お前の名前は、タマ、決定。
タ~~マ、タマタマタマこれから、よろしく~~
タマタマタマ……マタ?
うぁ、なんかちょっとヒワイ~~
ペロちゃんの方がマシかな?
ぺ~~ロ、ペロペロ~
うぉ!? こっちもなんとなく……」
「判った! 判りましたっ!
タマもペロもどっちも、イヤです!
わたしの名前は『
「な……西園寺、理紗だと!?」
今の今まで、わたしをからかって遊んでいた神無崎さんが、名前を聞いた途端、真剣な顔をして、素早く立ち上がった。
そして、座ってた時は、気がつかなかったけど、背、高い~~なんて思う間もなかった。
ずっと握ってたわたしの手首をぱ、と放して代わりに両肩をつかむ。
「てめーか!?
てめーが、
……へ?
急な展開に頭が全くついて行けなくて、わたし、神無崎さんに肩をつかまれ、揺さぶられるままになっていた。
「宗樹、ってウチの執事のお孫さんの……
なんで、神無崎さんが知ってるの……?」
しかも……またまた怒ってる?
今度は、さっきみたいについ、大きな声を出した、って感じではなく。
猛烈に、本気で怒っているような感じするんですけど……!
神無崎さんは呆然としているわたしに、くってかかるように怒鳴った。
「てめーのせいで!
宗樹がどれだけ迷~~惑かけられてるんだと思っているんだ!」
「……は?」
宗樹がめーわくって、わたし、何かしたっけ?
それに、そもそも宗樹とあまり会ったこと何て無い以上。
迷惑をかけるほど接点なんてないはずで……?
何にも思いつかないわたしに、相当腹を立てたらしい。
神無崎さんがイラだって、てめぇ! なんて、声を荒げた時だった。
わたしの後ろから、静かな声が聞こえた。
「……なんだ
朝っぱらから、どーして女相手にケンカ売ってんの?
元気なヤツだな。
殴り合いなら、昨日散々ヤッたじゃん。
まだ足りねぇなんて、そーとーなケダモノだよ、あんた」
「宗樹」
「宗樹!?」
神無崎さんの声に振りかえれば、そこに彼が、いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます