クラス・アイドル・育成物語!

柘榴ちゃん

第01話 プロローグ(一人目)

いつも通りの日常。



泣きながら謝る声。



下品に笑う声。



それらを気にせずに自分たちの話をする声。



毎朝いつもこんな感じだ。いじめなど、前からあった。先生はただの言い合いだと思っているようだが違う。俺も含めクラスの全員がそいつが嫌いだ。そうなれば自然といじめのような感じになってしまっただけ。泣きながら謝るやつのの親は知らないが何も言ってこない。何も言っていないのかもしれない。8時40分頃になるとクラス全員が自然と席につく。ああ、全員じゃない。一人不登校だったか。すっかり忘れていた。チャイムが鳴り、そろそろ先生が入ってくる頃だと感じていたがいつまで経ってもこない。俺はラッキーと思いながら周りにいた友達と携帯を出しながら喋っていた。



その時だ。放送から変な声が聞こえた。



『やぁ!日本全国の皆さん!!焦ってますか?慌ててますか?混乱してますか??んー、どうやらしていない人たちもいるみたいですね。まあそれは構わないでしょう!自分は神様って言うんだけど、今日は日本全国の大半の方たちが思っていた、こんな世界は嫌だ、という願いを叶えてあげたよ!良かったね!!ほら、今人気の異世界?というやつのように日本をしてあげたんだ!感謝してよね?まあ、それで死んでも自分に言わないでね。君たちが願ったことだもん。でもすぐに死んじゃうと困るからプレゼント!!これも君たちの情報の中から選んだ4つ、正確には5つを全員にプレゼントしたんだ!自分すっごい優しいでしょ?そして、その半年後、またまたプレゼントを上げるから……それまで、生き残ってね?』



放送が終わると、目の前に変なものが出てきた。これはあれだろうか。ゲームや、マンガなどで見るウィンドウだろうか。ウィンドウには、プレゼントが届いています、の文字。俺は軽い気持ちでタップすると5つのプレゼントがあった。取り敢えず一番上にあったものの受け取る、とい部分をタップした。



《ウィンドウを受取りました。有効化されています》



そういう文字が出て、自然と消えていく。次のをタップしよつとすると、何故か一括で受け取りになってしまった。



《ミッションという項目を受取りました。ウィンドウに表示されます》

《職業という項目を受取りました。ウィンドウに表示されます》

《スキルという項目を受取りました。ウィンドウに表示されます》

《ヘルプという項目を受取りました。ウィンドウに表示されます》



ウィンドウにはそう表示されて、すぐに最初の画面に戻る。今先までウィンドウは真っ白だったはずなのに、そこには先ほど書かれていたものがあった。一番上にミッション、次に職業、スキル、ヘルプと続いている。今のところミッションを見る気は無い。気になるのは職業、スキルだ。職業をタップし、開く。職業は、何故か二つあり、一つは道化師。もう一つは何故か演奏家だ。音ゲーが好きだから演奏家、なのかもしれない。よく分からないが。しかも、職業はレベル制らしく道化師の隣にLv.5と表示されていた。演奏家の方は24だ。まあ、中学の頃からやっているからな。当たり前か。そのためにゲーセンには週5回は通っている。それならもう少しレベルが高くても良いんじゃないか、とは思うがそれは贅沢だろうか。なんて考えているとクラスのどこからか女子の甲高い悲鳴が聞こえてきた。俺はそのことに心の中で舌打ちを打つ。そんなことを周りに悟られないように、友達と同じように悲鳴の方を見てみると、クラスのいじめられっ子、金沢 広(カナザワ ヒロ)がいじめの主犯格、若原 涼(ワカハラ リョウ)に反抗していた。何か、勝てると思ったのだろうか。スキルか職業が壊れ性能だったのか。気になった。が、話しかけたくない。どもって何を言っているか分からないからだ。しかも、早口。どもる上に早口とか最悪だな、とか思いながら俺はただ、見ていた。若原 涼が殺される様を。ただ、じっと。何をするでもなく、見ていた。そこに、俺は何の感情も抱かない。ただ、顔には驚いたような表情を貼り付け、涼の死を見つめていた。涼とは、それなりには仲が良かったと思われる。一緒に話をして笑ったり、休み時間にゲームの話をたまにしていた。一応、仲が良い部類に入るはずの奴が、死んでいるのに、殺されたのに、何も思わない俺は、やっぱり酷いのだろう。なんて考えていると、突然金沢が騒ぎ始めた。小説なんかである、俺に従え、やら、殺されたくなかったら言う通りにしろ、やら。意味の分からないことを言っていた。俺は従う気などないが俺の職業を見る限り、抵抗する手段がない。どうするべきか、と思っていると金沢が近くにいた女子生徒、岩本 心火(イワモト シンカ)を切り付けた。切ったのは背中のようで、血で制服が赤く染まる。彼女は今まで眠っていたのか、体をゆっくりと起こし、金沢に何か言われていた。彼女の目には明らかな敵意と殺意が宿っている。俺は面白そうだと思い、彼女に近づくと、金沢が大声を上げた。その瞬間、銃声が教室内に響き渡り、金沢の頭部が消えていた。吹っ飛んだ、と言った方がいいのかも知れない。どこからそんな物騒なものが、と思いながら教室を見渡すがそんなものは一切見当たらなかった。



「痛いし、煩いし。ぶっ殺すぞ。あ、もう死んじゃってたし、この言葉は違う人の口癖だった。失敗失敗」



どうでも良さそうな顔で、少し高く、特徴のある声が教室全体に響いた。彼女は立ち上がっているせいで足元に血溜りが出来ていることに気付いていない。それに、自分が大量の血を流していることにも気付いていないかも知れなかった。そのことを告げるべきかどうかを悩んでいると、一人の女子生徒、中山 有紗が彼女に話しかけ、背中に手を当てた。何をしているのか気になって、近くで見てみると、背中の傷が綺麗に消えていく。完全に塞がるのを見届け、思わず彼女の背中に触れた。本当に傷が消えているのか確かめたくなったためだ。中山さんはそのことに少し怒りながら俺を彼女から離す。まあ、確認できたから良かったが。その後、中山さんは自分の小さなジャージに彼女を着替えさせた。上は長袖のジャージ、下は制服のスカート。まあ、似合わないこともないが違和感しかないな。そんなことを思いながら、顔にはやっちまった、見たいな顔を貼り付け謝る。彼女をチラリと見ると、こちらを全く信用していないような、何も感じていないような空っぽな瞳で俺を見ていた。俺はその瞳にドキリとさせられる。次の瞬間、彼女は小さく笑うと自分の席に戻っていった。俺の心臓がうるさい。顔は呆然とした表情を貼り付けられているのか不安。頭に浮かぶのは空っぽの瞳と、先ほど見せた小さな笑顔。そして、金沢の頭部を吹っ飛ばした時に一瞬見せた残酷な笑顔。俺は、貼り付けられた表情を外し、俯き、笑う。



確かに俺は、今までの平和な日常が嫌いだった。嫌いだったが、急に変わり、どうすればいいのか不安だった。だが、今先その意見は変わる。



面白い。楽しみだ。



彼女に対しても、周りで見て、なんとも思ってないような顔をしている奴に対しても。そして、彼女を心配そうな顔で見ているあいつも、面白そうで、楽しみだ。

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