小窓
茫洋
1
すごい光景だな、と目の前の女子高生たちをぼんやりと眺める。左端は黒いスカート、続いて三人が青色のチェックのスカート、右端はグレーのスカートの制服を着ている五人が、私の向かいの座席に座っていた。
平日の午後。空席の目立つ電車内で七人がけの席に座っている。どこの高校の制服だろうかと少し考えてみるも、少しも思い付きやしなかった。
五人は熱心に携帯の画面を見つめている。
五人が五人とも膝上のスカートにセミロングの髪。足元にかばんを置き、同じ姿勢で手元の画面に視線をおろしている。驚くほど似通った六人ではあるけれど、真ん中の三人以外は他人のようで視線すら交わすことがなかった。中の三人ですら時折ぽつりぽつりと口を開く程度で、その時さえも画面から目を逸らすことはなかった。
私は携帯のカメラを起動すると例の五人に向けてみた。画面の中には先ほどと同じように全員が熱心に携帯の画面を見つめている。
シャッターをきることなく見ていたのだが、ふと電車内をぐるりと見回してみると老若男女全員が同じように機械を見つめていた。ついと視線を画面に戻す。画面はすでにタイムアウトで真っ暗になっていた。
私は女子高生が電車を降りるまでずっと黒い画面を見つめていた。
画面にはぼんやりと四角を見つめる私が写っていた。
小窓 茫洋 @tentyu
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