「どうですか、ご覧いただいた感想は？」

種川さんに各部署を案内していただいた。土曜日なのでフル出動ではないものの、社員さんたちが業務に勤しんでいる。平日よりも少人数なのでむしろお話を聞きやすい雰囲気だった。

もちろん社員さんたちのお話はとても興味深かったし生の『仕事場』をまのあたりにして、学生である自分たちがいかに守られた存在であるかということに思いを馳せたりもした。

けれどもやっぱり、どのタイミングでどのような状況で『悪鬼神』による悪因縁が沸き起こってくるのか気が気でなかった。

「まだだね、もよりさん」

ジローくんが小声で囁きかけてくる。わたしは黙って、うん、と頷く。

「じゃあ、社員食堂の中にカフェスペースがありますので、そこでお茶しましょう」

ぞろぞろと食堂に行き、種川さんから今年の就職活動の状況等、雑談で話せる範囲での話題をいくつかした。

テレビの音声が微かに聞こえる程度。

空くんが言った。

「？テレビに映ってるのってもしかして、この会社じゃないの？」

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