第170話 反転しようか(その6)
こんな感じで、”社交同好会”、という名の集まりを1週間続けた。学内でもそこそこ話題になってて、順番待ちをする生徒まで現れ始めているらしい。
いやー、順調だなー、と思ってたらやっぱり刺客が送り込まれてきた。
「俺も行っていいかな」
あまり見たことのない男子生徒。3年生だ、と彼は言った。名前は、
三木さんは最初から喋りまくった。
「ジョーダイさんはさあ、なんでこのメンバーと一緒にいるの?」
「はい?」
「いや、だって、明らかにレベルが違うでしょ、人間の」
「レベル、って何ですか?」
「まず、見た目。あのさ、言っとくけど見た目って重要だよ。内面が滲み出るからね。まずジョーダイさんは背が高いし顔も整ってる。何より自信が表情や立居振舞に表れている。でも、他の4人は・・・・」
「他の4人て誰のことですか」
「君といつも一緒の4人だよ。他の4人は単に外見がぱっとしないだけじゃなく、すごくおどおどしてるよね。見てて不快な気分になるよ」
「はあ?」
「それから」
区切ろうとしても、この三木って人は間髪入れない。
「ジョーダイさんは他人のことを助けようとして実際助けることができてるよね。他の4人は、まあ、人を助けようという気持ちは持ってるんだろうけど、結局助けられない。分不相応なんだよ」
「わたしはみんなに助けてもらってますよ」
「へー。たとえば」
「この間の生徒会長選の時だってみんなが居なければとても戦えませんでした」
「でも、落選した」
「あれはわたしの個人的な問題のせいです」
「違うよ。そもそも片貝さんのように優秀なブレーンが揃ってれば、スキャンダルなんか起こらないような円滑な人間関係や協力体制を教師側とも作っているはずだよ。その4人じゃ、先生たちもとても目を掛けて協力しようとは思わないだろ」
「三木さん、あなたは・・・」
わたしがそう言ったところで、三木さん以外の今日の来客の内、1年生男子が言った。
「すみません、僕たちもう帰っていいですか?」
「え? でも、まだあなたたちと色々お話してないし」
「あの・・・僕ら、三木さんとジョーダイさんのお話聞いてるの、ちょっと辛いですし、お邪魔でしょうから・・・帰ります」
そう言って三木さん以外の来客4人は座布団から立ち上がった。
今日は三木さん以外は全員1年生だ。3年生に異論を唱えられるような人はいない。
「・・・ごめんね。今度また別の日にゆっくり話しましょう」
「すみません、失礼します」
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