第124話 Ordinary New Year's Day(その8)
「たった一声、南無阿弥陀仏と称え、そして一週間後、極楽浄土へと旅立ちました。”良かった”、と思う私のことを薄情な親と思ってくださっても構いません」
すうっと大きく息を吸い込み、お師匠の声に慈悲がこもる。
「今日はとても若い方々が何人も来て下さいました。本当にありがとうございます。新年を迎えれば一つまた生身の身体は朽ちていきます。若い皆さん、どうか一日でも早い方がいいのです。16歳という若さですら、死ぬ一週間前でぎりぎり間に合うほどのこともある。明日をも知れぬのは100歳も16歳も等しく同じ、人を殴る人間も殴られる人間も、殺す人間も殺される人間もまったく同じ。平等なのです。ですから皆さん、思想も哲学も生き方もそれぞれ違うかも知れませんが、どうぞ、ただ一声、、
「南無阿弥陀仏」
あ、なんだろう。
うれしい。
すごく小さくだけれども、3人の子たちの口元もはっきり、”南無阿弥陀仏”、って動いた。
「みなさん、ありがとうございます。神仏はただ今から、必ず救ってくださいます」
ありがとう、お師匠。ありがとうお兄ちゃん。
それから、お母さん、ありがとう。
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