第71話 メイド服の調達法 その2

 メイド服のつてはソフトボール部女子ではなく、横山高校2年生の安藤あんどう奈月なつきさんだった。

 なんと彼女はこの県にたった一軒のメイド喫茶でバイトしてる。

 しかも、もっと驚いたことに、生徒会副会長なのだ。

 ソフトボール部の友達から頼まれ、

「うん、いいよ。何とかする」

と、あっさりとバイト先からメイド服を借りてきてくれたそうだ。

「メイド喫茶でバイトなんて、禁止じゃないの?」

 大志くんに訊くと、

「ううん。ちゃんとバイトの許可申請して通ってるって。うちじゃOKみたい」

 横山高校って大らかだなあ。

 とにかくも大志くんは、安藤さんとわたしの面会をセッティングしてくれた。男子でここまでできるなんて、物凄い社交力の高さだ。

 ただ、学祭でもない平常時にメイド服を学校に持ち込んだり、あるいは男子の大志くんに服のデリバリーを頼む訳にもいかず、安藤さんはわたしに店に取りに来るよう指定した。

 本物のメイド喫茶。やっぱり緊張しない方が嘘だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る