第69話 メイド その6
ひいおじいちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんが玄関まで見送りに整列してくれてる。
コートを小脇に抱えたままスニーカーをトントンと履いていると、現田先輩がスマホを手にトタトタと廊下を掛けて来た。
「ジョーダイさん、1枚撮らせて!」
「え!?ダメです!」
「いやいや、すごく可愛いからさあ」
「和也!!」
驚いた。鋭く叱責したのはおばあちゃんだった。
「もよりさんは、ひいおじいちゃんのために恥ずかしいのを我慢してこの服を着て下さったんだ。恩を仇で返すようなもんは跡取りにいらん」
なぜか隣でおじいちゃんが小さくなっている。
現田先輩はおばあちゃんには素直だ。
「ばあちゃん、ごめん。ジョーダイさん、ごめんね、嫌がるようなことして」
「そんな。ただ、写真はちょっと恥ずかしいので」
「ごめん」
「いえ・・・・可愛いなんて言ってくれて、かえってありがとうございます」
先輩を気遣っての社交辞令のつもりだったのだけれども、先輩は予想以上に照れてしまっている。おばあちゃんが釘を刺す。
「和也、いい加減な気持ちで惚れた腫れたなんてしなさんなよ」
「はい・・・分かりました」
先輩、ますます照れて耳まで真っ赤になった。
かわいらしいもんだね。
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