第32話 わたしを見て その4

 お!陸上部の佐古田くんがいる。これは楽しめそう。確か県の新人戦、10,000mで入賞したって言ってたっけ。よーし、わたしのランの成長度合いを確かめるチャンスだ。やってやるぞ!

 後から800mを走る女子たちがわたしの応援をする。

「もよりー」

「本気出せー!」

 ちづちゃんも遠慮がちに、「もよちゃん頑張れ」という口パクをしてくれてる。

「よーい」

 パン!

 あ、やっぱり。一歩目から佐古田くんが飛び出した。

 因みに佐古田くんはわたしよりも背が低い。

 わたしは彼の後ろにぴったりくっつき、スリップストリームに入る。

 あ?背後に群れの気配を感じる。ちらっと振り向くと残りの4人もすぐ後ろに続いてる。ただし、100m走のようなフォームだ。

「ペース、ペース!」

 先生が背後の4人に怒鳴っている、のだろう。

 でも、わたしはこの4人が好きだな。さすが男の子だね。意地っ張り、最高だよ。

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