第31話 わたしを見て その3

「上代さん、ちょっと男子に混じってみようか」

「えっ?」

 わたしは男子体育担当の吉田先生の提案に戸惑った。

 いや、まあ、陸上軌道競走の時だって男子に混じって出てたし自分でももはや違和感を持たなくなった。

 でも。

 いくらなんでもあんまりだと思う。

 今日の授業は1500M走なのだ。

 女子は800Mだ。

「上代さんは走るの得意だろ」

「好きではありますけど、得意かどうかはちょっと・・・」

 なんやかやと言いながら、いつの間にかスタートラインに立っている。

 一レース6人。

 途中までは文句を言っていたけれども、スタートラインにたつと皆本気モードに変わる。

 気持ちは分かる。

 女のわたしに負けたくないのだ。






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