第10話 残酷な女たち

とても優しい人がいた。

社交的で、向上心があり、頼りがいがあって男らしい人。

でも別段好きではなかった。私にとって彼はであるだけで、

いわゆる友達として付き合っているだけ。

相談にも乗ってもらうし、逆に相談にも乗る。それだけの仲だ。

仮に彼が告白しようものなら、それは我々女性に対する宣戦布告だ。

女友達を集めて、私から彼についての報告、それから評価をメンバーで行う。

私たち女子に定められた鉄の掟だ。

ある日、彼からまた食事に呼び出された。その帰り道。

「好きです。付き合ってください」「……いいよ」私は女の敵となった。

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