本編~2401年12月~
【第1話】アダム×三姉妹
「んー!」
ブルーのウサ耳リボンをぴょこんとさせながら、その少女は大きく伸びをした。
「ララミー! いつまで『アダム』眺めてんのよ。準備はできてるの?」
巨大モニターに映し出された、赤茶けた惑星を食い入るように見ていたその少女の後ろ姿に向かって、背中に長銃を携えた長身の女性は言った。
「もっちろん! あたしはずいぶん待ったんだもん! 今回の星入りをずっと楽しみにしてたんだっ」
ウサ耳リボンをぴょこんとはずませながらくるっと向きを変えて、ララミーと呼ばれた少女は笑顔で言った。
「ララミー姉様、変なこと言わないでください。今回のって、まるで初めてじゃないみたいじゃないですか」
その言葉に対して、今度はずいぶんと幼く見えるもう一人の女の子がやれやれといった表情を浮かべながら言った。
「はーい。そうだねっ! 『イヴの浄化プログラム』、しっかりやらなきゃね」
ララミーはそう言うと、ぺろっと舌を出しながら右手のこぶしでコツンと軽く自分の頭を叩くふりをした。
「アンタね……。もうちょっと自覚というものを持ちなさいよ。それでも一応ファーストチームのリーダーなんだからね」
「エルダ姉様、それは無駄というものです。ララミー姉様の使命はなんでもかんでも楽しむことなんですから」
長身の女性エルダは、背の低い女の子に見上げられながらそう言われると、何かを思い出したかのようにはっとして肩を落とした。
「そうだったわ。アタシがバカだったわ。さぁ、リオ。ララミーは放っておいてさっさと行くわよ。このままじゃセカンドどころか、サードチームにも先を越されかねないわ」
エルダがそう言って右手で顔を覆っていると、小さな女の子リオはエルダの太ももを軽く叩きながら言った。
「エルダ姉様、ララミー姉様ならもう
「…………?!」
エルダは右手を顔からはがすと、すでにララミーはすでに
「こらー! ララミー! アンタがバカなのは一向にかまわないけど、アタシをバカにするのは許せないわ」
エルダはそう言って自分も端末を操作して
「エルダ姉様も、ララミー姉様にかかればかたなしですね。それにしても――」
リオが巨大モニターに近づき、左手で大きく
「私たちで七度目の『浄化プログラム』……ですか。過去の戦士たちに恥じぬ働きをしなければいけません」
リオはそう小さくつぶやくと、ポシェットから端末を取り出し、
* * *
少女たちがいなくなった部屋に残された巨大モニター。そこには銀色に輝く惑星だけが映しだされていた。
静かにたたずむその惑星に、小さな小さな点のような影が突入していった。と同時に、警告を示すアラームが部屋中に鳴り響いた。
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