この口、戯言を言う

@Nightingale

第1話 私の右腕が疼く!!


高校の入学式の日……私、草凪和(くさなぎのどか)は呪いにかかってしまった。


パパの本棚の薄い黒い本、私は以前から気になっていて、興味本位で開いてしまったの。

中身はパパの黒歴史小説、眼帯を付けた男子高校生が、痛い言葉を言いながら怪物を倒したり、波乱万丈な学園生活を送る話だったと思う。


「へー、ふーん、ほーぉ。」

変な当て字ばかり出てくるかと思えば、意外と面白いのよね。これが。


そして、今日が入学式で、学校に行かなければならないにも関わらず、思わず入れ込んでしまい。


「カァー、カァー。」


ん、カラスだ。もう夕方か。

「って夕方っ!?入学式は!!???」

もう間に合わないわ!


「ああ、もう!最悪!」

思わず私は本に八つ当たりしてしまう。

「この本め、この本めー!…………ん?きゃあっ!」


踏みつけていた本が突然光りだした!

「な、なにこの本……。どうなってるの?最新技術?」

「!!和!危ない!」

「パパ!…!?」

そして私は光に飲み込まれて……。



「ん……?」

「和!目を覚ましたか!」

「創…造…主?」

目を覚ますと目の前にパパが居る。

視界がぼやっとする。どうやら気を失っていたようだけど…。


うん?…???創造……私なんて言ったの?


「和、話がある。」

「どうしたのだ…?この私を呼び覚ますとは。」

!!???な、なにこれ!?喋ると変な言葉になるんだけど!?


「よく聞いてくれ。お前は呪いにかかった。」

は、呪い?

「暗黒の呪印だと、フッ、くだらない。」

こんなこと言いたいわけじゃないのに。

「俺の頭がおかしくなった訳じゃない。お前の開けた本のせいだ。」

本……。あの光を放った本の事かな。


「暗黒<<ナイトメア>>を知っているか?」

ナイトメアは悪夢の事でしょ?

と、喋ると変な言葉になるので私は黙っている。

「主に暗い夜に現れ、人を喰う。恐怖の怪物だ。

 いつ頃からか世界に出現し始めてな、今まで秘密裏に処理されてきたんだ。」

へえ、と首を縦に振る。


「あの本はそのナイトメアのボスを封じ込めた本でな。」

封じた……そういえば私はあの本に随分乱暴したような……?

「お前が何をやったか知らないが、本からナイトメアが出てきてしまった訳だ。

 そして、ここからがお前の呪いの話になる。」


「あの本は少年がそのナイトメアのボスを倒す物語なんだが、あれは実際にあった話でな……。」

そういいながら、ちょっと物思いに浸るパパ。

「彼は、とても痛い子だった。会話をすれば変な口調で返してくるし、捻くれてて天邪鬼だし。

 しかし彼はナイトメアのボスと戦い、ボスを自分ごと本に封じ込めることで退治したのだ。」


「彼が何故ナイトメアと戦うことになったのか、理由を話してくれた。

 ……右腕が疼くそうだ。お前はどうだ。」


そういえば…………右腕がかゆい。

「創造主の言う通りだ、右腕が…疼く。」

疼くんじゃなくてかゆいのよ!


「彼も、その疼きが出るまでは普通の言葉を話していたそうだ。

 …………和。俺は元MON<ナイトメア対策委員会>の一員として、出来る限り協力する。」


…………。


「人々のために、ナイトメアを倒してくれ!」





なんだか大変な事になっちゃったわ。

……これ、一応学園物だよ。

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