冴えない彼女の育て方 二次創作
けろよん
第1話 倫也とサークルの仲間達
授業の終わった放課後の廊下を安芸倫也(あき ともや)は急ぎ足で歩いていた。
彼はあるサークルの代表をしている。
その目的はある冴えない少女をヒロインにしたギャルゲーを作り、彼女の良さを世間の多くの人達に知ってもらうことだ。
倫也が部室に着いてドアを開けると、頼りになるサークルのメンバー達はすでに待っていた。
「遅いわよ、倫也。あんたのために協力してやってるのに遅れてくるんじゃないわよ」
「授業が終わるのが遅れたんだ。悪かったな、俺のために来てくれてたのに」
「べ、別にあんたのために来てるんじゃないんだからね!」
と、トレードマークの金色のツインテールを振り回して、実に分かりやすいツンデレの反応を見せてくれる彼女は澤村・スペンサー・英梨々(さわむら・スペンサー・えりり)。
倫也のサークルのイラストを担当する新進気鋭の人気同人イラストレイターだ。
「悪いと思っているなら瞬間移動してでも来れるはずよ。倫理(りんり)君」
「俺はりんりじゃなくてともやですよ、先輩。あと瞬間移動なんて無理ですってば」
いつも名前を間違えて呼んできて、静かな声で無茶ぶりを告げてきたのは、霞ヶ丘詩羽(かすみがおか うたは)。倫也達の一年上の先輩で人気のライトノベル作家だ。このサークルでもシナリオを担当している。
彼女はその視線を別の人物に向けて言葉を続けた。
「でも、彼女はもう来ているわよ」
「え?」
「ん?」
不思議そうに見上げる少女と目が合う。言われて見てみると確かにもう彼女は部室に来ていて席についていた。
「加藤、いつの間に」
同じクラスなのにと倫也は不思議に思ったのだが、
「わたしは安芸君より後に部屋に入ってきたんだけど」
「え? そうか、全く気が付かなかった……」
どうやら倫也が二人と話しているうちに席についていたようだ。
そんな冴えない存在感の無い彼女こそ加藤恵(かとう めぐみ)。倫也のサークルの誇るメインヒロインだった。
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