弔花 / Perfect Fourth - Requiescat in Pace

 二三七〇年一月某日

 

 

「邪魔なんだけど」

 俺は、窓から身を乗り出して、決して広くない道を占領する巨大な黒蟻に向かって言った。蟻は、びくっと人間じみた反応をして、それからこちらに無機質な視線をよこした。

「すみません、すぐに移動します」

「頼む」

 蟻――もとい最新型自律式六脚戦車のアンソニーは、長い脚を器用に動かして、道路の片側を空けた。いつ見ても、機械仕掛けだというのに、妙に滑らかで不気味な動きだ。同じ機械仕掛けのどこぞの誰かさんとは、形が全く違うだけに、不気味さの質も違う。つまり、どっちもどっち、ということだが。

 しかし、街中の、しかも外周の道端にこの最新兵器様がいらっしゃるのは珍しい。アンソニーを街で見かけるのは、それこそ戦闘が起こっている現場か、もしくは工事現場くらいだったから。

 それとも、今からここが戦場になるとでも言うのだろうか。仕事があるんだから、勘弁して欲しい。この、塔の技術を結集させた気色悪い戦車には、建物一つを軽く吹き飛ばす程度の火力はあるらしいから、下手にうろうろすれば俺も愛車も一撃で粉砕されかねん。

 そんな俺の懸念を読み取ったのか、アンソニーは穏やかな声で言った。

「本日は、相棒の付き添いで参りました。あくまで私用であり、作戦行動ではありませんのでご安心ください」

「ならよかった。お前の相棒って、確かクールビューティなお姉ちゃんだよな」

「ええ、『代行者』シルヴィ・ルクレールです。今、あちらでお話をしております」

 車を蟻の横に並べて、通りの向こうに視線をやって。それから、ちょっと自分の目を疑った。

 少し離れた場所に立っているのは、そりゃあもう目が覚めるような美人のお姉ちゃんだ。短く切りそろえた黒髪、少しきつそうな青い目、そして真っ白な肌。血なまぐさい仕事には全く似合わない、氷の像みたいな美女だ。もちろん、ぴったりとした黒い背広が浮かび上がらせる、胸や腰のラインも素晴らしく整っている。これが塔の怖い人でなけりゃ、速攻で口説きにかかるってのに、と常々遠目に見ながら思う。

 だが、その横には、美貌の『代行者』とはさっぱり釣り合いの取れない野郎が立っていた。

 見間違えようもない。髪一本生えていない青白い禿頭に、鳥の羽を模した刺青。それに、顔の上半分をほとんど覆うミラーシェード。いつも通り頭以外の全身を黒い衣に覆ったそいつは、おなじみの『何でも屋』シスルだった。

「……何やってんだ、あいつ」

「シスルさんは、先ほど、ここを通りがかりまして。それから、五分ほど彼女と話をしています」

「何話してんだ?」

「それは私にもわかりかねます」

「最新兵器なんだから、超聴力で聞こえたりしねえの?」

「可能かもしれませんが、人の話を盗み聞くのはマナーに反する行為と思われます」

 相変わらず、この蟻はどこまでも人並み以上の倫理観を備えた蟻である。一体これのどこが兵器なのか、果たして兵器として運用できるのか、いつも不思議に思う。記録によれば一定以上の戦果を挙げているらしいから、いざ戦場に赴けば人が変わるのかもしれない。蟻が変わる、と言うべきかどうかは悩ましいところだ。

「でも、シスルがいきなりナイフを抜くことだってあり得るんじゃねえの?」

「ええ。ですから、シスルさんが敵対行動に移れば、すぐにでも動けるよう、ここで待機しています」

 その可能性はゼロに近いと思いますが、とアンソニーはおっとりと付け加える。

 正直に言えば、俺もそう思っている。あのハゲは、いつになく陽気な音色を奏でて、身振り手振りを加えてシルヴィに話しかけているようだったから。

『ハヤト、どうなさいますか?』

「あー……」

 神楽に問われて、俺は思わず額に手を当てた。ここで立ち往生していても仕方ないのだ。俺も、ちょうどシルヴィとシスルが立っている場所に用がある。あの二人がどいてくれるまで待つのは流石に馬鹿馬鹿しいから、仕方なしに道の端に車を寄せて、荷物を抱えて降りる。

 シルヴィが、扉の閉まる音に反応して、こちらに視線を向けて微かに眉を寄せた。それと同時に、金属を叩いたような硬質の音色も俺に向けられる。それで、シスルもこちらに気づいてひらりと手を挙げてみせた。

「やあ、隼」

 仕事が絡んでいない時の野郎は、どこまでも暢気だ。それと対照的に、『代行者』シルヴィは険のある顔つきで俺とシスルを交互に睨んでいる。特にシスルを。最低でも、俺はともかくシスルが歓迎されていないことだけは、はっきりとわかった。

「何してんだお前ら。珍しいツーショットにもほどがあんぞ」

「いやあ、こんな場所で麗しのミス・ルクレールを見かけたもので、ついつい声をかけずにはいられなくて」

 その言葉に、シルヴィは露骨すぎるほどに表情を歪めた。大層な嫌われようだ。一体何をやらかしたんだこいつは。

「お前、クールビューティー系は近寄りがたいって言ってなかったか」

「ミス・ルクレールは別格だ」

「一体何の話をしているんだ」

 シルヴィの声と放たれる硬い音色には、明らかな苛立ちが篭められていた。流石にシスルと違って、俺は塔の怖い人を相手に冗談をいう度胸も実力もない。何せ、後ろには塔最強と名高い蟻も待ち構えているのだ。それ以上余計なことを言うのは止めて、率直に用件を切り出すことにした。

「悪いが、俺はここに届け物の仕事を請けててね。通してもらえるか」

「……そうか。仕事の邪魔をしてすまない」

 シルヴィは、青い目を伏せて、音もなく道を空けてくれた。だが、そのつるりとした頭ん中に好奇心ばかり詰め込んだサイボーグ様は、遠慮なく俺の手元を覗き込んで言った。

「弔花か」

「つくりもんだけどな」

 今どき生花なんて、塔の研究所でしか手に入らない。お得意様に頼めば手に入ったのかもしれないが、今回ばかりはお得意様に頼む気になれなかった。まあ、こういうもんは、気持ちさえ伝わればいいのだ。きっと。そういうことにしておく。

「奇遇だな。私も一輪、花を手向けようと思っていたところだ」

 シスルも、外套から一輪、やはりつくりものの花を取り出してみせた。真っ白な、百合の花。俺が抱えている花束と同じ花だ。

 俺はあまり驚かなかったが、シルヴィは息を飲み、目を見開いて俺とシスルを見据えた。表情は相変わらず堅いが、驚いていることははっきりと伝わった。

 やがて、塔の『代行者』のお嬢さんは、ちいさな唇を微かに動かした。

「何故」

「俺はただ、人に頼まれただけだ。ここまで足を運べない自分の代わりに、花を手向けてくれってな。お前は?」

「私は、噂に聞いた少女たちの命日と聞いて。知ってしまったからには、花の一つくらいは手向けないと気が済まなくてな」

 シスルは、白い造花の茎を摘んだまま、軽く首を振った。

「……噂?」

「この通りで起こった『事故』の噂さ」

 事故、という言葉を使いながら、野郎の声には全くそれを信じていないという響きが混ざっていた。そう、実際にここで起こった出来事は事故なんかじゃない、らしい。だから、思わず問うていた。

「アリシアから聞いたのか」

 件の事故の真相を追っていた『新聞記者』の名前を小声で囁くと、シスルは「まあな」と小さく頷いてみせた。あいつとこのハゲは、それこそ同じベッドで寝る仲なんだから、聞いていたところで不思議じゃないが。

「その前から、この辺じゃそれなりに有名な話だったんだがな。爆発するはずもない場所での爆発事故、そこで亡くなった何人もの少女たちと、塔の兵隊。因果関係はさっぱりわからないが、彼女たちが、望んで死んだわけでないことくらいは、想像できるさ」

 こいつの目は、相変わらず分厚いミラーシェードの下に沈んでいて、どんな感情を映しこんでいるのかは判別できない。ただ、常に目を隠しているのは、飄々としているようで、根っこの部分では感情的かつ感傷的なこいつが、その事実を周りから隠すためじゃないか、と邪推している。こいつは、表情筋こそ不自由だが、どこまでも、感情に対して素直な音色を奏でてみせるから。

 その時、シルヴィが突然頭を押さえて、ふらりと身体を揺らした。それを慌ててシスルが支えようとするが、シルヴィはその手を乱暴に払った。シスルはそれに対して嫌な顔一つせず、ただ、申し訳無さそうに頭を下げた。

「すまない、ミス・ルクレール」

「いや、構わない」

 シルヴィは、睨むようにシスルを見据えながらも、きっぱりと首を横に振った。

「どうしたんだ?」

「何でもない」

 取り付く島も無いってこのことなんだろう。シルヴィは、視線を逸らし、鋭い、けれどどこか脆い横顔を俺に晒した。

 そんなシルヴィを、妙に遠い表情で見つめながら、シスルが俺に囁いた。

「彼女は、どうも、この場所に因縁があるらしい」

「因縁?」

「それ以上は、私も知らない」

 それは嘘だ、と確信した。音色を聞くまでもない。野郎は嘘を吐くのは決して得意でない。顎を少しだけ上に上げて、ミラーシェード越しの視線をわざわざ虚空に投げてくれるのだから、わかりやすいったらない。

「お前さ、嘘つくならもっと気の利いた嘘をつけよ」

「悪かった。気持ちよい嘘つきになれるよう、精進しよう」

 ただ、それ以上話す気が無いということも、わかった。確かに、これはこいつの問題じゃなくて、シルヴィ・ルクレールという女の問題だ。べらべらと言いふらしていい理由はない。

 だから、俺もそういうものかと納得することにして、目の前の建物に向き直る。

 そこに佇んでいるのは、寂れた教会だ。旧時代の建築様式を真似た建物からするに、旧時代の教えを生真面目に守ってる変わり者によるものだろう。世界の九割を滅ぼしちまった《大人災》から数百年、その人災の主、『魔法使い』にして新世界の神、バロック・スターゲイザーの信者ばかりがはびこるこの時代には珍しいもんだ。神もスターゲイザーの気まぐれも信じちゃいない俺としてはどうでもいい話だが、まあ、人の思想信条ってやつは自由だとは思う。他人に迷惑をかけない限りは。

 あの事故で死んだ連中は、塔の『掃除係』が片付けちまったから、実際にこの教会の墓地に眠っているわけじゃない。だが、墓地の片隅に、ひっそりと、墓が立っているのだという。理不尽に命を奪われ、その存在すら語られることのなかった、少女たちのために。

 そんな場所に、思想も心情も持たない俺が、こんな、重たい花束を抱えて立つのは、何とはなしに不似合いな気がした。それが俺の仕事であって、この花束を手向けようとしているのは、俺ではなく依頼人ではあるのだが。

 それでも、つい。

 じっと、何かを探し求めるように、教会の扉を見つめているシルヴィに声をかけていた。

「『代行者』のお嬢さん」

「何だ」

「この花、お前さんが手向けてやってくれよ」

 シルヴィの前に、百合の花を差し出す。微かによい香りがしたのは、つくりものの百合の花じゃなくて、目の前の『代行者』の香水の香りだろう。微かに薬っぽさも混ざった、すっとする香り。ローズマリーだろうか。

 シルヴィは、俺の言葉に露骨に戸惑いを見せた。今の今まで、張り詰めていた硬い音色に、ふっと、柔らかな丸みを帯びた音色が混ざる。柔らかなマレットで、金属の鍵盤を叩いた音色に似ていた。

 そんな、どこか複雑な音色を奏でるシルヴィの、真っ青な瞳を見つめて言葉を続ける。

「縁もゆかりもない俺よりも、きっと、アンタが手向けたほうが、死んだ連中も喜ぶんじゃねえかと思ってな」

 俺は、死者の音色まで聞き取れるわけじゃない。だから、誰が花を手向けたところで、何も変わりゃしねえと思っている。だが、何となく、この氷みたいなお嬢さんが見せた壊れやすさが、酷く、心に響いちまったんだ。

 シルヴィは、すぐには俺の持つ花に手を出さず、ぐっと指出し手袋を嵌めた手を握り締めて、あくまで硬い声で言う。

「私が手向けたところで、誰も喜ばないだろう」

「そうなのか?」

「私は、何も、覚えていないから」

 覚えていない。その言葉が引っかかったが、それをシルヴィに問うのは、きっとナンセンスってやつだろう。

「まあ、いいじゃねえか。何かが減るもんじゃなし、俺も次の仕事が待ってるしな」

 仕事があるなんて嘘だ。だが、シスルよかよっぽど上手い嘘だとは思う。

 シルヴィは、散々躊躇った後に、恐る恐るといった様子で俺の持つ花束に手を伸ばしてきた。一瞬だけ、俺の手に触れた指先には、氷を思わせるかたちに似合わない、人間の温度が宿っていた。

 そして、百合の花束は、シルヴィの手に移った。

 真っ白な花束は、黒髪に黒い衣装、白い肌のシルヴィによく似合っていた。そのまま、一枚の絵にしたいくらいに。俺に絵の才能が無いことが悔やまれる。

 せめて、その姿を目に焼き付けておこう、と思っていたら、ものすごい形相で睨まれた。下心が見えちまったのかもしれない。

 シルヴィは、しばし、唇を引き結んだまま、道に迷った子供じみた困惑の表情で百合の花を見つめていたが、やがて、小さく頭を下げて、俺に背を向け、教会の扉の奥に消えていった。

 珍しく、何の茶々も入れずにそれを見送っていたシスルは、やがて俺に向き直って口元だけで微笑んだ。

「それじゃ、そろそろ私も花を手向けてくるよ」

「なあ、シスル」

「何だ」

「あのお嬢さん、『覚えてない』って言ってたな。あの事故の関係者なのに、その時の記憶が無いっていう意味なんかね」

 件の事故で、ことごとく死んだ娘たち。それが「娘たち」というのが引っかかっている。アリシアの言葉が正しければ、それは、塔が選んだ娘たちであるという。もし、シルヴィ・ルクレールが、その「娘たち」の一人だったとしたら。

 そんな、他愛ない妄想がふっと浮かんだだけだったのだが、シスルは、曖昧な笑みを口元に浮かべながら、言った。

「それに関しては、ノーコメントでいいか」

「お前が何か知ってるってことだけはわかったがな」

 うっ、とシスルは顔を逸らす。本当にこいつ、仕事の外だとポンコツだな。仕事中の、やたら切れる面を知っているだけに、そのギャップの酷さが際立つってもんだ。そのギャップがなきゃ、相当とっつきづらい奴だったかもしれないが。

 シスルは、しばし何かを誤魔化すように視線を逃がしていたが、やがて諦めたように息をついて言った。

「私は、例の出来事に関しては、あくまで想像でしか物事を語れないんだ。私自身が目にしたことは、何一つないから。ただ」

「ただ?」

「ミス・ルクレールが、例の出来事に関して記憶を操作されているのは間違いない。本人は自覚していないようだが、しかし、何とはなしに、感じるものはあるらしい」

「記憶を消したのは、塔か」

「まず、そうだろうな。猟犬に、余計なことを考える余地を与える連中じゃないだろう」

 言って、シスルの顔が、灰色の空に向かって聳える《鳥の塔》に向けられる。塔の腹が黒いのは、今に始まったことじゃない。だが、迷子のように、白い花を見つめていたシルヴィを思い出すと、少しだけ、胸にちりっとしたものを感じないでもない。

 シスルは、塔を見つめたまま、ほとんど独り言のように呟く。

「私としても、彼女の記憶は戻らないほうがいいと感じているがな」

「手前は、そう言うと思ってたよ」

「そうか?」

 シスルが、こちらに向き直って苦笑する。そう、こいつはいつだってそうだ。そういう奴だとわかってるから、俺は、言わずにはいられなかった。

「手前は、いつだって、今だけを見据えてるからな。今そこにある何もかもをあるがままに認める、ってのは確かに手前の強みだ。だが、それが、誰にでも出来るとは思わないほうがいい」

 過去に己の足を取られながら、その過去を拠り所にしないと生きていけない奴だっているし、それがきっと、大多数だ。もちろん、俺も含めて。もしかすると、シルヴィ・ルクレールだってそうかもしれない。どれだけ捨て去りたい記憶であっても、それが無いと立てない奴は、確かにいるのだ。

 とはいえ。

「なーんて、らしくねえ説教だな。忘れてくれよ」

 俺は、こいつに説教できる筋合いなんざねえ。こいつはこいつで、そうならなければ生きていけなかったはずだ。過去という拠り所を、かつての己の形を、完全に見失っちまったのだから。

 それでも、シスルは、何処までも真っ直ぐに俺の言葉を受け止めて。

「心しておこう」

 そう、答えやがる。こいつの愚かしいまでの真っ直ぐさは、俺にはどうにも眩しすぎる。

 こうして相対すると、シスルにせよ、シルヴィにせよ、俺とは全く別の世界の人間だってことを、思い知らされる。立場とか、境遇とか、んなわかりきったことじゃない。そもそもの、奏でる音色の違いというか。クサい言い方をすれば、「心のあり方」みたいなもんが違うんだろう。

 つい、普段は意識しないことまで考えさせられて、酷く居心地が悪い。こんな場所からは、とっとと離れることにする。

「じゃ、俺は仕事に戻るわ。悪いな、引き止めて」

「いや、私こそ。じゃあな、隼」

 軽く手を振って、片手に百合の花を携えた野郎は教会の中に消えていった。それを確認して、俺は深々と息をついた。どうも肩に力が入っちまってたようだ。らしくない、と思いながら車に戻り、やはり大人しく待っていたアンソニーに軽く会釈する。

「お仕事は終わったのですか、フジミさん」

「ああ。……お前の相棒、いい女だな」

「はい。とても優秀な『代行者』です」

 そういうことじゃねえんだよ、とツッコミを入れたくなったが、もしかすると今のは、この蟻型兵器なりの冗句だったのかもしれん。伝わってくる音色に、微かな、笑いのようなさざめきが混じっていたから。

 この蟻の面から表情なんざ窺えないし、どっかずれた受け答えをする奴ではあるけれど。張り詰めた心を抱えるシルヴィと、真面目だが決して四角四面というわけじゃないアンソニーは、何だかんだでいい取り合わせなのかもしれない。

 例えば、徹頭徹尾堅い表情をしていたシルヴィが、アンソニーの言葉にふっと、微笑みをもらすことだって、あるのかもしれん。きっと、その笑顔は、とびきり綺麗なんだろう。

 そんなことを思いながら、車の扉を開けて。じっと、こちらを見つめていたアンソニーを振り返って、言ってやる。

「泣かせんじゃねえぞ、色男」

 背中を、アンソニーの声が追いかけてきた気がするが、一体何を言われたのかはわからないまま。

 俺は、扉を閉じて、車にキィを差し込んだ。

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