風をまくモノは嵐を収穫スル
田久 洋
第 壱 話
壱 ‐イチ‐
保健医の
快晴の下、初夏の
はしゃぐような風が室内に白い
「まるで、心が
保健室に入り込む
「――全てが、始まる」
優雅な仕草で
まるで意志を持ったかのように、花びらは建物からどんどんと離れて、正門の外へと向かう風に乗る。
――ようやっと、この時が来た。
そのまま敷地の外へ出た風は、坂下を目指してまっしぐらに走っていった。
◆ ◆ ◆
五月の連休明け。
関東の南西に位置する私立九条学園は、初等部・中等部・高等部・大学部からなる、
学園を囲むように、病院・住宅・研究所・ショッピングセンター・文化ホール・映画館などが建ち並び、学園都市の
その九条学園高等部へ続く坂道を、
今日からこの高等部の一年生となる玲花は、
立ち止まり、下を向く。
チャコールグレーのジャケットに、幅広のボックスプリーツ型のスカート。
真新しい制服はパリッとしすぎて、着心地がよくない。
浅くなる呼吸に気づいて、玲花はゆっくりと息を吸い吐き出した。
「大丈夫、大丈夫」
自分自身に言い聞かせていたら、
空を
「……
玲花の
張りつめていた心が
「ありがとう」
と玲花は伝えた。
不安だらけの心が軽くなる。何も知らない場所に緊張していたが、この綺麗な風景が気持ちを
ざあぁぁぁぁ……。
玲花の言葉に
風に流れる長い髪を左手で押さえながら、玲花は散る
――嬉しい……。
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