第2話 身の上話


俺は北村優太

正直、どこにでもいるような普通の男子高校生。

顔立ちも普通、背格好も、別に高身長ってわけでもないし、別に太っているっていうわけでもないし、いわゆる中肉中背って奴だ。

後、強いていうことがあるとすれば・・・根暗だとか言われるかも。

勉強はめちゃくちゃできるってわけでもないけど、寝る間も惜しむくらい必死に勉強したから、なんとか市内No. 1の進学校に進学することができた。

普段俺はそんな風に努力するタイプじゃない。でも、


そんな自分を大きく突き動かすくらいの理由があった。


それは、「初恋」

初恋って言っても、他人からそんな大それたものじゃない。

ただ純粋に、始めて人に対して恋愛感情を持った。

いや、持っていることに気付いた、と言ったほうがいいのか・・・


ただ・・・不遇にも俺が恋愛感情を持ってしまったのは幼馴染の同級生。


しかも・・・男だった。


そいつ、一ノ瀬悟は、俺とは真逆と言っていいほどの優秀な人間。

イケメンでスタイル抜群。努力家で、勉強もスポーツもしっかりこなせる優等生。

あ、こんな人間、漫画の中だけじゃないんだ・・・って思うくらい、万人の理想に合う人間だ。


だから、クラスの女子にはもてまくるし、もちろん男子からも人気があった。

それだけじゃなく幼馴染の俺に向かって、

「お前には幼馴染である資格すらない」

とまで言われた。(別にこの程度のことは言われても、本当のことなので怒りすらわかない)


そんな、俺とはかけ離れたような男を俺は好きになってしまった。

いつから悟のことを好きなのかは、俺自身もわからない。

でも、自覚症状が出てきたのは、ここ2、3年といったところだろうか。


そんな中、俺と悟は、二人暮らしをしている。


他人から見れば、『好きな人と二人暮らしなんて理想じゃないか』と思うかもしれない。

俺だって幸せに思いたいよ。でも、

二人暮らしを始めなくちゃいけなくなった理由が、悲しすぎて・・・

とても喜べたもんじゃない。


二人暮らしを始めなくてはいけなくなってから・・・


悟は家であまり話さなくなった。

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