左手薬指の輝き
櫻弓 想
始まりは三階の音楽室で
「は?!何言ってんの?冗談やんな、それ!」
「え?かっこいいやん。七瀬先生。七瀬先生は
こんな会話をしたのは、今から遡ること約1年前、私達が1年生だった時の3年生の卒業式の日だ。鮮明に覚えている。
吹奏楽部員として、卒業式に曲を演奏した私達は卒業式が終わっても未だ賑わう運動場を3階の音楽室から眺めていた。
七瀬先生は愛珠のものー!なんて意味のわからないことを言ってるのは、サックスパートの愛珠ちゃん。
七瀬先生とは本名、
ただ1つ、いいところを言うと授業が面白い…そんなところぐらいだろうか。
だが、七瀬先生…通称ななてぃーのことをかっこいいと言ってる女子は少なくなくて…私がたまたまこの瞬間にななてぃーをかっこいいと言ってる女子を初めて聞いたというだけだった。
中学二年の自分のクラスにもかっこいいと言ったりしてる人はたしか二人いたし、五クラスあるが他のクラスにもパラパラいた。
確かに決して少なくはなかった。でも顔は別にかっこよくない。背は高くて体型は細くも太くもないからそこの部分に関してはいいかもしれないが、きっと年齢も見た目的に30代前半から半ばだろうと予想している。というか…終いには、可愛いなんていう女子もいて引いていた。
あの人仮にも教師なうえ、おっさんだぞ?!と。
しかし、こんなにけなしているが…これは私が七瀬先生を好きになってしまう前の感情なのである。
そう…好きになってしまう前…
要するに、私は七瀬先生を好きになってしまうのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます