第34話 仮定
癌だと仮定すると、すべて説明がつく。今回の熱発の原因は風邪もあったかもしれないけれど、本当は腫瘍熱。癌患者では感染症でないのに熱が出る事がある。だから、わざわざ医師は「ナプロキセン」に変えたのだ。腫瘍熱には「ナプロキセン」がよく効く。癌の痛みには、「ロキソプロフェン」や「アセトアミノフェン」ではなくて、「トラマドール」のような強い薬を使わないと楽にならない。だから、「トラマドール」が処方されていた。そして、やせた原因もきっと癌。帰国した理由もきっと癌の治療のためなんじゃないだろうか。
どうしてあの時気づけなかったのだろう。
私は金曜日まで、おじちゃんと話した数分間が何度も頭の中でぐるぐると回り続け、指名が取れた喜びはすでにどこかへ消え去っていた。
そして、約束通り金曜日におじちゃんは処方箋を持って来局した。おじちゃんの姿を偶然見つけカウンターへ駆け寄ると、前回よりも明らかに疲れている雰囲気がすぐにわかった。
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