エピソード4 わりとマリシア
とある朝。
廊下でマリシアとすれ違った。
「おはよう」
「…………」
こうして二人はすれ違っていく。
別の朝。また廊下でマリシアとすれ違った。
「おはようマリシア」
「…………」
やっぱり二人はこうしてすれ違っていく。
ある日のこと。
マリシアが俺のところに来た。
「ザギョピ、ピズピ、ピセリ」
マリシアは俺の顔も見ずにたったそれだけを言う。
だけどいつものことだ。
「ああ。採ってくるよ。ひょっとしてブルーポーションでも作るの?」
こくりと頷くマリシア。
だからと言ってそれ以上マリシアから話すことはない。
俺は、薬草を採りに出かけた。
「はい。採って来たよ」
薬草を受け取るも、その場から動こうとしないマリシア。
うーんなんだろう?
「…………」
マリシアは安定の無言。
「ひょっとして、俺が作るの?」
首を横に振るマリシア。
違うのか……。
「レシピは知ってるよね?」
首を縦に振るマリシア。
「うまくいかない?」
頷くマリシア。
「じゃあ、見てみるよ。マリシアが精製するとこ。
なんかアドバイスできるかどうかわかんないけど。
それでだめだったらポーラさんに相談しよう」
その言葉をきっかけに歩き出すマリシア。
彼女の専用の魔法薬研究ルームへ。
俺はその後をゆっくりと歩いた。
■マリシアside(作者の推測ですので、実際のマリシアの思考とは一致していない可能性がございます。)
「おはよう」
ルート……。
「…………」
「おはようマリシア」
名前……呼んだ……。
「…………」
「ザギョピ、ピズピ、ピセリ」
お願い……。
「ああ。採ってくるよ。ひょっとしてブルーポーションでも作るの?」
そう。
「はい。採って来たよ」
少し……付き合って……。
「…………」
「ひょっとして、俺が作るの?」
違う……。
「レシピは知ってるよね?」
知ってる……。
「うまくいかない?」
そう……。
「じゃあ、見てみるよ。マリシアが精製するとこ。
なんかアドバイスできるかどうかわかんないけど。
それでだめだったらポーラさんに相談しよう」
ポーラさん……。
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