「時計うさぎ」の文字を見れば、メルヘンチックな世界観を頭の中に思い描き。けれど後に続くのは、「不在証明」なんて、いかにも現実的な刑事ドラマやなんかで慣れたいかつい四文字熟語。このギャップにまず戸惑ったら、すでにこの物語の作者の術中にハマっているのかも。
幽霊、民俗学、オカルト。そんな非現実的なモノの引き起こす事件に対処するのが、主人公の配属された「待盾署 神秘対策係」。けれどその役割は、超自然現象を解明することではなく、それらがすべて現実の処理範囲内で起こっているのだということを証明すること。
ごく常識的なミステリらしき謎解きがあり、リアリスティックな人の感情が行きかい、けれどそこここに見え隠れする超現実的な何かの気配。
タイトルのギャップは伊達じゃない! 現実世界とファンタジーの心地よい融合に、きっとハマります。
そして物語を進める主人公、直情型の若い刑事八束と、強面だけど本当は優しい南雲のコンビネーション。
このコントラストもまた絶妙。二人の物語にずっと浸っていたい気分です。
それぞれに傷を持つ二人の過去が、これからどう解き明かされて行くのか。楽しみにしています!