第131話 起きようと

 朝わたしは起きるためにベッドの端に座り、目覚まし時計を確認しようと体を捻る。すると膝に重みを感じた。猫だ。猫がわたしの膝の上に座っている。いつの間に起きたのだろう。猫の要求はわかっている。頬を掻いて欲しいのだ。わたしは自分の手を猫の顔に近づける。すると猫はわたしの手に自分の頬を押しつけてくる。

 わたしは猫の要求通り頬を掻いてあげる。猫は右に左にと顔を動かす。

 しばらくしてわたしは猫に言う。


「そろそろ退いてくれないかな~」


 猫はなんとなく察するものがあるのだろう。わたしの膝から降りていった。しかしこれで終わりではない。猫は少し歩いたところで振り返り、わたしを待っている。次は、ごはんの催促だ。


「はいはい、ごはんね」


 わたしが猫に話しかけると、猫は尻尾を立ててわたしを先導する。

 この一連の流れがほぼ毎朝の日課である。

 ちなみに猫がごはんを食べている間は、わたしにとっては猫用トイレの掃除の時間である。

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