第95話 ふみふみ
猫は赤ちゃんの頃お母さんのお乳を飲む時、手でお乳を揉んで「ふみふみ」する。大きくなってもその名残で、人に対してや柔らかい毛布などでふみふみする。そうすると落ち着くようだ。ウチの子(猫)も子猫の頃わたしのお腹をふみふみした。今は柔らかいぬいぐるみや手触りの良い膝掛けでふみふみをしている。わたしのお腹ではふみふみしなくなった。
しかしある日一緒にベッドで寝ていた時、猫はふみふみを始めた。わたしの二の腕で。確かに肉がよくつき、ぷるぷるしているから気持ち良いだろう。だが、痛い。それになんだろう。このもの悲しさは……。そんなに二の腕がたるんでいるのだろうか……。猫がわたしにふみふみするのは安心しているからだと思うと嬉しいが、複雑な気分だ。
そんなわたしには目もくれず、喉を鳴らしながらふみふみするウチの子の姿があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます