第85話 無視

 ウチの子(猫)のごはんへの情熱は凄い。わたしが家にいると二時間おきくらいにごはんを要求する。しかしごはんの時間は決められている。そう簡単にはあげられない。

 なのでわたしは猫を無視する。

 すると猫は、わたしが座っているところの前に伏せる。わたしにお尻を向けて。

 猫はわたしに対して怒っていると示しているのだろう。だが耳がこちらを向いている。わたしの動向を見逃すまいとしているみたいだ。猫の顔はわたしとは反対側に向いているが耳だけはわたしに向いている。

 面白い。

 わたしは、極力音を出さないようにする。

 しばらくすると猫はそんなわたしに焦れたのか、振り返る。

 ふっ、今回はわたしの勝ちだ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る