第76話 腕枕

 ある夜わたしがベッドで横になると、猫がやってきた。そしてわたしの左腕にのし掛かる。寝やすい場所を探しているようだ。すると猫はわたしの体と左腕の間に収まった。そして猫の頭がわたしの左腕に……。これは俗に言う「腕枕」だ。わたしはなんて可愛いことをするのだろうと思い嬉しくなった。猫に添い寝をしてもらいわたしはニヤニヤしながら眠りにつく。

 いや、眠ろうとしたのだ。

 しかしそのまま眠ることはできなかった。猫の頭が重いのだ。わたしは左腕がしびれてきた。もう限界だ。わたしは、猫の頭をそっと腕からおろした。猫は不満そうにわたしを見ている。


「ごめん。だって重いんだよ」


 わたしは猫に言い訳をする。

 猫は気分を害したようだ。ベッドから降りていってしまった。

 あぁ~、せっかくの添い寝が……。

 次は腕枕なしでの添い寝をお願いしたい。

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