　猫が床で仰向けになり、ごろごろしている。わたしを誘っているかのようだが違う。手を出したら噛みつかれるのは必至だ。

　だが触りたい。あのお腹のもふもふとした毛を堪能したい。

　いや、駄目だ。猫はお腹を見せているが、触って良いというサインではない。ただごろごろしたいからしているだけだ。

　でも触りたい。いや、駄目だ。でも触りたい。どうしても触りたい。触りたい。触りたい……。

　もふもふもふ

　がぶっ

　ぎゃー！痛い！

　猫は仰向けのまま、尻尾を左右に揺らし怒っている。少しお腹を触っただけでこの有り様だ。あんな誘うような仕草をしておいて. ……ひどい。

　しかし猫はわたしを誘ったとは思っていないだろう。ただ仰向けになりたかっただけなのだ。

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