第47話 引っ越し

 ウチのマンションの人が引っ越すらしい。マンション前にトラックが止まり数人で話す声がする。しかも日曜日の朝だ。はっきり言ってうるさい。

 マンションの通路に面した部屋にわたしの寝室がある。休みの日だしわたしはベッドでゆっくり横になっていた。すると猫がやってきて、ベッドにいるわたしの足の間に入り込む。そして引っ越し作業が始まった。台車を押す音が響く。


 がらがらがらがら


 その音に猫はビクッとする。


 今度は人が階段をかけ上がる音がする。


 たんたんたんたん


 また猫はビクッとする。


 猫はいつもならケージで寝ている時間だが、わたしの足の間から出ようとしない。どうやらいつもと違う外の様子が怖いようだ。わたしでもうるさいと思うのだから、人より耳が良い猫にとっては聞き慣れない音は怖いだろう。わたしは猫の気が済むまでベッドで一緒にいた。昼頃はベッドから出たが、午後もずっと一緒にベッドで寝転んでいた。ようやく猫がベッドから降りたのは、午後三時半頃だった。ちょうど夕方の食事の時間だ。

 さすが食欲魔神。怖がっていても腹時計は正確だ。

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