飛天記~ある天使たちの物語~

一ノ口九点(いちのぐちきゅうてん)

飛べませんがそれが何か?

プロローグ

「昔、天使わたしたちは飛ぶことができました。

主神エヴァーヤは天使わたしたちが飛ぶことを許してくれたのです。

天使わたしたちに、ご自身の血と肉で作った片を授けて、

『この片をもって地上を治めなさい。』とおっしゃられた。

”主神より与えられし神聖片”を天使わたしたちは大事にしていました。

しかし、ある時よりそれを真似して自分たちのために片を作成し始めたのです。

そして天使わたしたちは模倣品レプリカの作成のために奇石を奪い合い、

作成された片を奪い合いました。

主神は天使わたしたちの醜い姿をお怒りになりました。

天使わたしたちを飛べなくなさいました。

翼はあるけれど地を這うようになさいました。

主神は片を砕かれて飛神ワイヴァーンにお渡しになり、

飛神は地上にばら撒きました。

もはやこの者たちには不要というように

それらは地上のいたるところにまき散らされました。

人間たちは天から落ちてくるそれを害悪の象徴と看做しました。

主神は失意のあまり、天の岩戸にお隠れになり、眠りに就かれた。

飛神は主神の眠りの番をして、天の下を見守り続けている。

伏神ニーフィスは主神の代わりに契約を司るようになった。」

我々の歴史書『飛天記』第1章には必ずこの言葉が綴られています。

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