第1話
「やぁ、そこのお嬢さん! 魔法少女に興味ない!? というか、私と一緒に楽しいひと時を過ごさない!!?」
数時間前――――
私、如月雪葉は放課後のある日、学院の図書館で明日の講義の予習をしていると突然話し掛けられ――――もとい、意味不明なナンパをされた。
振り返ると、そこには誰もおらず。
かわりに刀と鞘が交錯している表紙の本が宙に浮いていた。
「……………」
うん。何も見なかった事にしよう。
私はすぐさまノートを閉じ、筆記用具や資料を鞄にしまうと、何事も無かったように図書館から出ようとした。
逃げる。逃げる。逃げる。
「だが、通さな――――」
「邪魔」
「ぎゃう!?」
私は右拳で目の前に現れた本を叩き落とし、通り過ぎると、引き戸に手を伸ばし――――
ふと、奇妙な違和感を覚えた。
あの本が何かしたのかと思い背後を振り返るが、本は地面に転がったまま悶え苦しんでいた。
周りを見回しても何の変化も見られない。
気のせい……よね……。
そう思い、再び引き戸に手を伸ばした瞬間だった。
「…………え?」
私は引き戸に映された自分自身の影の形に
恐る恐る私は鞄の中から手鏡を取り出すと、鏡の中の自分を覗き込む。
水のように透き通った髪の色は雪のように白くなり、腰ほどある長い髪は不自然なほど大きい赤と黒のラインが特徴のリボンでサイドテールにまとめられていた。
服装は先程まで着ていた学生服から取って代わり、髪をまとめているリボンを幾重にも巻き付けたような肩の露出がやたらと多い上ジャケットとふんわりしたやや短めのフリルスカート。
「………………」
視線を落とすと、手首にも同様の色のシュシュと両足にはブーツが……。
こ、これじゃ……まるで……。
「いや〜、眼福ですなぁ〜! やっぱり魔法少女はこうでなくては!!」
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