4 ―夢―

 唐突に呼びかけてきた大人に、シュウとカナは顔に困惑を浮かべてわずかに踵を後ろへとずらす。けれど、ノブは構わず一歩間を詰めた。

「シュウ……カナ。お前たち……すぐに分かったよ。……無事だったんだなあ」


 ノブの言葉は震えていた。手に持っていた銃を背負い、両手を広げて歩み寄ろうとする。だが、呆然と見つめるだけの、二人の脅えたような瞳に、ノブは歩みを止めて戸惑ったように手を下げた。


「父さんだよ。……忘れちまったかな……」


 ノブの笑顔が、にわかに曇る。

 説明を求めるように、シュウの目がユウキへと向いた。


 ユウキは目をつぶりたくなった。

 ほらね、そうだと思ったんだ。みんな親のことも、砂漠の生活も覚えちゃいない。両親と再会できたって、空の下に出られたからって、それが本当に、都市の子供たちだけの社会で一生暮らすよりも良いことだって言えるのか?

 あと何回、これに似た光景が繰り返されるんだろう。親がみんな、自分の子供を見つけられるとも限らない。見つけてもらえなかった子供はどうなる? それに、子供に受け入れてもらえなかった親は……。


 けれど。駄目だ、とユウキは首を横に振る。

 決心したはずだ。計画は止められない。ならば自分は、トキタの、父親の遺志を継いで、この計画を進める側に回ろうと決めたのだ。


「シュウ、あのさ」

 言いかけたときだった。


 突然。

 足元の、ずっと下。どこか深く遠い場所からの轟音に続き、地面が揺れた。そこかしこから小さな悲鳴が上がる。頭上から広場を照らしていた強い光が照度を落とし、何かの映像で見たことのある、太陽が雲に覆われたような弱々しい明かりだけが残された。そして。

 広場の中心。上下の階層へと突き抜ける巨大な柱が突如、赤い光を点滅させ始める。


「……なん、だ?」

 シュウはユウキに向けていた目をそちらにやり、小さく呟いた。


 学校のほうから途切れ途切れの細い列を成して歩いていた子供たちも、ぼんやりとした視線を柱へと向ける。

 忙しなく、何かを主張するように全体を明滅させる巨大な柱。


 非常警報。見たこともない状態に、自然とそんな言葉が浮かぶ。

 都市に異常事態が起きていることを、告げているのか――。

 ユウキは素早く手元の時計を確認する。ハルたち破壊実行グループが、いくつかの装置を破壊しながら中枢に達したのだろう。


『メイン・コンピュータの爆破は、午後零時』


 ハルは言っていた。


『都市の中に入ったら、破壊グループと誘導グループとの間の連絡は取れない。こちらが無事に中枢部に達したら、そちらの子供たちの誘導がどういう状態であろうと、零時ちょうどにすべてのシステムを停止させる。そのころにはロボットもかなり数が減っているはずだから、妨害は少ないと思うけれど、余裕を持って階層脱出を完了させてくれ』


 タイムスケジュールを厳守して、と、念を押された。

 手元の時計の示す時刻は、十一時三十分二十三秒。計画から、わずかに二、三分の遅れ。


 ともかく、急ごう。話は後だ。そう言おうとしたユウキの目の前で、ノブが突然、口笛を吹きだした。何事かと、ノブに視線を集中させる三人。

 赤く明滅する柱を背後に、ノブは平然と、器用に口笛でユウキの知らないメロディを紡ぐ。

 まだ当惑を眉間に浮かべながら、音を紡ぐために口をすぼめた表情は、どことなく滑稽で。なんとなく情けなくて。少し切なげで。その横顔を、赤い光の明滅が照らす。


「ノブさん……? なにやってんの? ……早く行かなきゃ! エレベータが止まっちまうよ!」


 焦って声を掛けたユウキに軽く肩を竦めて見せながら、ノブは口笛をやめない。

 訝しげなシュウの視線。だが、その隣で、カナは目を丸くしていた。そして――。


 ノブの口笛に、カナのハミングが重なる。


「カナ……?」


 カナはハミングを続けながら、兄の顔を見上げた。そして、歌を止めて。

「お兄ちゃん、知ってる! この曲、あたし……!」


 口笛を続けながらノブは、頬を緩めた。次第にかすれる口笛のメロディ。それが消えたとき、ノブは目にいっぱいの涙を溜めて。堪えきれないように、鼻をすする。


「母さんの、子守唄だよ。お前たちが小さいころ、いつも歌ってた」

「お母さん、の?」


 それは、初めて口にする言葉でもあるかのように。口の中で転がすようにぼんやりと言いながら、引き寄せられるようにノブに近づいていくカナ。少女が目の前にやってきたとき、ノブは両腕でしっかりと、彼の娘を抱き止めた。


「大きくなったなあ。カナぁ」

 ノブは、カナの背中に回した大きな手で、娘の背を優しく叩く。しばらく黙ってそうされていたカナは、首だけめぐらせて兄を振り返った。


「お父さんのにおいだよ。お兄ちゃん、お母さんの歌と、お父さんのにおいだ!」


「おい! なにやってんだ、遅れてるぞ! 急げ!」

 だいぶまばらになった、学校からの脱出者。その一番後ろについていたオキが、立ち止まっている四人に大声で叫んできた。


 ノブはカナの肩を右腕に抱き、シュウに歩み寄ると、反対側の腕に息子の肩を抱き入れた。

 まだ釈然としない顔をしながらも、シュウは、二人とともに歩き出す。


 ユウキは複雑な気持ちで息をつき。


「おい! 坊主! 早く来い!」

「あ……はい!」


 オキに促され、列の最後尾についた。




 ハルの言葉どおり、それまではそこここから現れていたロボットの姿は消え、妨害には遭わずに階層を移動した。既にいくつかのコンピュータは破壊されているらしく、不自然な体勢で動きを停止しているロボット、それに村人たちが一体ずつ打ち倒したロボットが、通路の所々に転がっているのみ。

「外」への連絡階で、コンピュータの破壊に回っていた男たちと再会する。

 先に子供たちを連れて表へ出た者を除き、そこには十数人の村人が集まっていた。


「子供たちは?」

「全員外へ出た。そっちは?」

「ああ、予定どおりだ。起爆装置は設置した。後は爆発を待つだけ。入り口が閉まる前に俺たちも脱出するぞ」

「中に入った者は、これで全員だな!」


 状況を確認しあい、通路を進みだす人々に、ユウキはついて歩きながら周囲を見回していた。

 破壊グループの一人を捕まえ、足早に歩を進めながら聞く。


「ちょっと待って……ハルは?」

「ああ」


 ひょろりと背の高い細身の男が、足取りを緩めずにユウキを振り返る。


「最後の確認してから出てくるよ。最後の最後で中枢の爆破を阻止されちゃ、ここまでの計画は台無しからな。ギリギリまで見張るんだ」

「ギリギリって……だって、それじゃ」


 ユウキの不安を察したように、男は小さく笑いを浮かべた。


「大丈夫さ。最後に破壊する中枢の階に妨害者の残党が近づかないように、念のため離れて監視するだけだ。電力が停まっても、非常用の出入り口があるんだ。大勢じゃ大変だが、一人二人なら後から脱出するのもワケないってな。そういう計画だよ」

「……一人で、中に残ってるの?」


 なんとなく嫌な予感に襲われて、ユウキは唾を飲み込んで聞いた。


「ん? ああ。そうだよ。それより急げ」

「おれ……」


 ユウキは足取りを緩める。数人がユウキを追い抜いて先に進んでいった。追い抜きざまに、オキがユウキを振り返る。


「おい、どうした坊主。行くぞ」

「おれ……ハルと一緒に出るよ!」

「……なんだって?」

「悪いけど、先に行ってて!」


 それだけ大声で叫んで、身を翻そうとしたところで、大きな手に腕を掴まれた。


「待てよ」

「すぐに戻るから、先に――」

「いや。場所は分かるのか?」

「え……自信はないけど、どうにか」


 オキは、身を屈めてユウキと視線を合わせると、

「坊主。ユウキって言ったな」


「……うん」


「必ず出て来いよ、ハルと二人で」

「うん!」


 長い通路を駆けながら、先ほどまで首っ引きになっていた図面を取り出す。オキにはああ言ったものの、必要なフロア分しか記載されていないそれでは、中枢へのルートを知ることはできない。


「クソッ」


 舌打ちをして図面を投げ出すと、迷う暇もなくさっき出てきた階層間エレベータに飛び乗り、都市生活の最後にいた八十三地区に戻る。完全に役割を失ったゲートを素通りし、無人の学校へ駆け込むと、事務センターに向かった。

 二度ほど規則違反を犯したユウキを出迎えた「事務員」は、カウンターに向かって椅子に腰掛けた状態で固まっていた。


 それを横目で見ながら、ユウキは右手のドアを押し開けて、長い階段を下る。

 正直、道筋はうろ覚えだった。あの時は、経路を覚える余裕などなかったし、そんな必要はなかったのだから。それでも、なんとなく覚えのある通路を曲がり、階段を駆け下りて走る。

 コールドスリープの覚醒者たちへの洗脳が行われていた部屋。人の気配はない。

 通り過ぎ、何もないことを確認して、さらに下のフロアへと階段を下る。


 以前来たときにも微かに聞こえていた水の音が、次第に大きさを増したように感じる。

 なんの根拠もなく、しかしほかに目印として辿るべきものもなく、ユウキはなんとなく水の音を追って長く暗い通路を、階段を、駆け足で進んだ。


 しばらくそうして進んでいくと。

 数フロア分の深さはありそうな、折れ曲がった長い階段を下った先で。

 突然視界が開け、吹き抜けの広いフロアに出て、ユウキは思わず目を見開いていた。


(これって……)


 水路?

 居住棟の廊下くらいの幅に切られた溝を、澄んだ水が滔々と流れていく。

 流れの先は、壁に阻まれてそのまま追うことはできず、どこへと繋がっているのか判然としない。そして、流れを遡るようにして数十メートル進むと。


 ユウキの暮らしていた八十三地区の学校の前と同じような広場。中心は、いまだ赤く点滅を繰り返している巨大な柱が上下に階層を貫き、その柱の足元を一周するように大きなコンクリートの水槽が囲んでいる。水は、ここから湧き出してでもいるかのように、滾々こんこんと溢れ出して水路に流れを送り込んでいた。

 水の出所を無意識に追いながら、ユウキは柱を回りこむ。

 と。柱の向こう側に、一際明るい光を漏らす、大きく入り口の取られた部屋が見えた。


 水の音だけではない。実に様々な、聞いたこともない――それでいて妙に耳に馴染む、「音」の洪水。

 吸い寄せられるようにその部屋の前へと足を運び、入り口で足を止めて。内部の様子にユウキは目を見張った。




 広い部屋だった。部屋の中心に並べられたコンピュータ。そして、壁には、細かく切られた無数のスクリーンが天井までびっしりと嵌り、それぞれに別々の映像を映し出している。


 ユウキは一歩室内に足を踏み入れ、入り口を残して隙間なく設えられているそのスクリーンを眺め渡した。


 ひとつには、映画か何かで見たことのある、都会の昼間のスクランブル交差点。信号が青に変わると、無数の人々が足早に行き交い、混ざり合い、すれ違う。

 またひとつには、夜の街。以前トオルが語っていた通り、それは色とりどりの華やかな灯りがちりばめられた、眠らない街。


 学校。そこでは数十人の生徒たちが机を並べ、コンピュータのディスプレイではなく、本に向かい合い、正面で話す一人の大人に目を向ける。

 商店、会社、教会、公園。

 大人と子供。友人、恋人。家族。

 母親は赤ん坊を抱き、老人は若者に手を引かれ、男と女は抱き締めあう。


 海。青い空をうつしてどこまでも広く続くその水面は、白い模様を浮かべてむことなくゆったりと揺れる。水面ギリギリを、白い鳥が大きな翼を広げて水に軌跡を描くようにして飛び過ぎていった。

 山は赤く。林は深閑とかすかな風に木の葉をさざめかせ。まばらに草の生えた大地をしなやかな四つの足の動物が駆けていく。


 その世界にあった、ありとあらゆるもの。過去に人間が見てきたすべての場所。すべての人間、すべての生命が。そこに集められ、一堂に映し出されているかのような、膨大な数の映像。

 音の洪水と聞こえたのは、それぞれから別々に紡ぎだされている音声のようだった。


 そして。


 広間の中心。固められたコンピューターのひとつに寄りかかるようにして、こちらに背を向けじっと腕組みをしてスクリーンに目をやっている、一人の人影。


「ハル――!」


 ユウキは呼びかけながら、遠慮がちに歩み寄る。

 ハルは、腕組みのまま首だけこちらにめぐらせる。その顔には微笑みが浮かんでいた。


「まだいたのか。早く出ないと、ゲートが閉まるぞ?」

 早くしないと学校に遅刻するぞ。そんな、なんでもない調子で言うハル。場違いな緊張感のなさに、逆に妙な緊張を覚えて、ユウキは汗ばんだ手を握り締めた。


「ハルこそ。何してんだよ、こんなとこで……それに、これは」

 頭の上まで壁を埋め尽くすスクリーンをぐるりと見渡しながら、聞く。ハルは小さく息をついて、笑い含みに言った。


「すごいだろ? 二〇六〇年代の、映像ライブラリだよ。トキタさんから話には聞いていたけれど、おれも今日、初めて見た」

「二〇六〇年代の……?」

「ああ。この都市のメイン・システムは、世界がこうなって、この都市から人がいなくなって……その間もずっと、この映像をスクリーンに映し続けていたんだって」

「コンピュータが、勝手に?」


「うん」


 ハルは頷いた。


「もう一度、こんな世界をよみがえらせることを夢見て。そう……これは、都市の夢、なのかな……。そうして人を――その夢の世界の登場人物となる人間を待ち続けて。目を覚ました二〇六〇年代の人間――ハシバを取り込んで、この美しい世界を取り戻そうとした。いや――」


 そうして寂しげに、小さく笑う。


「美しい世界を維持する、自分の役割を取り戻したかった、のかな。何百年ずっと」


 都市の、夢。そしてそれを語るハルに、首筋を撫でられるようなゾワリとした違和感を感じて。


「だけど」

 そう、ハルは言葉を繋ぐ。静かに。


「二〇六〇年代の文明は、この美しい世界を継続できなかった。人間も、コンピュータも、世界がこういう風になるのを食い止められなかった。必要だったのかな、その文明は。いや――滅んだのも含めて、最初から最後までみんな必然だったのかな。……少なくとも、今この時代には必要ない。ここでは新しい文明が、芽を出し始めてる。だから消滅させるんだ、全部。またハシバみたいな人間が現れて、悪用されないように。この世界を乱したりすることがないようにな。これで、終わりだ」


 身震いするようないたたまれなさに、ユウキはまた一歩踏み寄る。

「ハル……そんなことより早く出ようよ。やることは済んだんだろう?」


 踏み出そうとすると、「ちょっと待って」と止められる。

 ハルはコンピュータに寄りかかっていた体を起こし、視線でユウキの左右を示した。


「そこらへんに爆弾が仕掛けてあるんだよ。気をつけてな」

 物騒なセリフを、ハルは顔に笑みを浮かべてさらりと吐いた。

「下手に動いて、躓いたりして時間前に爆発させたりしないでくれよ」


「えっ」とあたりを見回す。スクリーンやコンピュータに、もともとあったものとは思えない、後から取り付けられたらしい装置が。見渡しただけでもいくつか確認できた。

 ここが最後に破壊すべき、メイン・コンピュータ室なのだろうとユウキは思う。しかし、それならば、なおさら――。


「そんな……なに落ち着いてんだよ、ハル、早く出なくちゃ。……爆発するんだろ?」

「先に行っててくれよ。まだ演奏の途中なんだ」


 ハルは腕を組んだまま、またコンピューターに腰掛けるようにして寄りかかり、最初に目をやっていたらしいスクリーンへと顔を向けた。


 黄色っぽい光を浮かべた、薄暗い映像。ステージの上なのだろうか。たくさんの人間が列を作って横に並び、同じ方向を向いて一斉に、手に持った楽器らしいものを操っている。中心に据えられたピアノ。そしてピアニスト。

 その手が弾き出す音が、重なり、複雑に絡み合って、壮麗な旋律を編み上げる。その音が、ほかのスクリーンのスピーカーから漏れ出す無数の音声の中から、浮かび上がるようにユウキの耳に届いた。


「演奏の途中って……」

「この曲。練習してたんだよ。あと数日でステージ本番だった」


 ハルはそう言って、笑う。スクリーンへと目を向けたまま。

「ピアノ協奏曲。オーケストラと一緒にね。やりたかったなあ。せめてこれが終わるまでもう数日、眠らせるのは待っててくれれば良かったのにな」


 苦笑するように、肩を竦めるハル。

 ユウキは喉元をせり上がってくる緊張に、眉を曇らせる。時計を確認し。


「もう十五分もないんだろ? 演奏? いつ終わるんだよ」

「いま第二楽章なんだ。あと十五分で終わるかどうか。終演と、爆発と、どっちが先かな」

「何言ってんだよぉ! 間に合わないじゃないか!」

「いいんだよ。もう少しで好きなところなんだ。仕方ない、間に合わなきゃラストは諦めるさ」


 それは、途中でここを出る、などという意味ではないのだろう。

 ハルの意図を悟って、冷たく激しくなる動悸を鎮めながら、ユウキはハルへと足を進めた。

 近づいてくるユウキに、ハルは体勢を変えずに、顔だけ向けて眉を上げる。


「きみは早く出ろ。水路を見ただろう? あの突き当たり、左に少し行くと非常用のエレベーターがある。主電力が停止しても、数時間は動く。それで一番上まで行けば、外の非常用回廊に出られるよ」

「ハル、一緒に出ようよ」

「おれはもう少し、ここにいるよ」


 そう言ったハルは、やはり笑いを浮かべていて、ユウキはほかのすべての感情を押しのけてわき上がってくる不安に胸を押しつぶされそうになる。

 どうにか、とユウキは再び周囲を見回した。起爆装置。それを一旦解除できれば。

 そのユウキの思考を察したように、ハルは笑いを引っ込める。


「計画は変えないよ。零時ちょうどにこの部屋は吹っ飛ぶ。都市のシステムはそれで完全に停止する」


 腕を組んだまま。視線をユウキから外し、ピアノの演奏の続くスクリーンに向ける。

 それまで大勢の人間が並ぶステージ全体を映していたスクリーンに、ピアノを弾く人物の手元が大きく映し出された。その手は、魔法のような速さで白い棒の上を滑り、叩き、キラキラとした音を奏でる。


「――それで」


 ハルはスクリーンに目をやったまま。


「計画は完成だ。二〇六〇年代のものはすべて、消える」


 二〇六〇年代のものは、すべて――。

 心の中で繰り返すユウキに、ハルはまた笑った。


「おれも含めて、ね」

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