付録

制作メイキング NGシーン(第9話より)

「うんうん。シビれる演奏プレイだったよ。そういえば、きみの演奏、後ろでずっと聴いてた人誰だと思う?」


「え、さっきの聴いてる人いたんですか?」


「ニールだよ。ニール・ショーン」


ニール・ショーン。ヒサが中学時代によく聴いたハードロックバンド・ジャーニーのギタリストだ。


「ニ、ニール・ショーンがオレのギターを?はよ言えや、ごらぁぁぁあああ!」


ここは間違いなくハリウッドだ。


***


「本当にいいんですか?」


「ノープロブレムでしょ。アンプも買ってくれたしね」


ハンドルを左に切りつつ、店員は悪戯っぽく笑う。


「はあ。まーでも荷物増えちゃったんで、ほんと助かります」


ヒサは車の後部座席に置かれたアンプをチラッと見た。


「サンセット通りって近いけど、これだけの荷物を持って帰るには、しんどいでしょ?やっぱり車じゃないと」


ヒサはそろそろ我慢が出来ずに聞いた。


「あの、ところで、ニールどんな感じで聴いてました?」


「なに、気になるの?そりゃ、もうつまんなそーだったよね。ハハハ、ジョークだって」


「あ?ワレもっぺん言うてみいや。いてまうど、こらぁぁぁあああ!」


ヒサが店員に掴みかかる。


車がフレットの上をチョーキングした。

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