前のエピソード―― 燃費を向上させるコツ（ガソリンエンジン編）直噴エンジンのデメリット

　では、現在の均質燃焼のみの直噴エンジンに何が良いことがあるのでしょう？　メリットがなければ各自動車メーカーは採用しません。成層燃焼をしない直噴エンジンにもメリットが存在するのです。

　例えば、圧縮比を高くできパワーを得られる点です。エンジンは構造上、混合気を圧縮をしてその後の爆発力を高めています。圧縮は高いほど良いのですが、圧縮をしすぎると混合気が勝手に燃え爆発してしまいます。コンピューターの制御を無視した爆発なのです。これをノッキングと呼び、ノッキングが出ないような圧縮比に設計しています。しかし、直噴エンジンではどうでしょう？　エンジン内に直接噴射することでガソリンの気化熱でエンジンを冷やすことができます。するとノッキングの可能性が低くでき、比較的圧縮比を高くできるという特徴があります。

　また、特にエンジンが暖まっていない時は、直接エンジンにガソリンを噴射することで、燃えやすく排気ガスが綺麗になると言われています。通常のエンジンの場合は、エンジンに入れる前にガソリンと空気を混ぜますが、エンジンが冷えている場合では、ガソリンが液化してしまうため混ざりが悪いのです。

　このように成層燃焼がない直噴エンジンにもメリットが多いのです。