Ace Chronicle

@namonakiRD

プロローグ

「最初は戦争のゲームに迷い込んだ気分だった……」

 生まれ育った町が奴らの大規模進撃で、戦地へと変わる姿はまるで地獄だった。ビルは鉄筋がむき出しで民家は火災が起き市民は逃げ惑う中、兵士は市民を守りながら後退を余儀なくしてゆくが奴らの流れ弾が兵士の間を抜けて市民にも当たり死者が出てきて逃げた後は奴らの攻撃で壊された戦車や死んでいった兵士や市民が転がっていた。

 

 彼は必死になって逃げた。奴らにやられて倒れた人を踏んででも……逃げまくった。奴らは『マーズ』兵器の形をした敵である。


 なぜこうなったのは 、時をさかのぼるほど3年前になる。2032年6月。天文台的に予想外にも巨大な隕石が太平洋に落ちた。その影響で大津波が発生し、太平洋側では大半の小島が地図から綺麗に消えるほどでの津波に襲われる大規模な被害となり、ヨーロッパでは、隕石の落下の際に起きた急激な変動が起きた影響でイギリス始めドイツやフランスなどの地震が起きない場所で大地震が発生し、イタリアの活火山が一斉に大噴火が起きて大規模避難になるほど被害となり、時は同じくしてアフリカでは大規模な大雨で大洪水が起きるなどの死者や行方不明者が世界人口の2割の被害となった。そして、人々はこの災害を『厄災』と言われるようになった。そして、各国では政治上での復興資金が足りず軍事予算を大よそ7割ほど削減し、復興支援に回した。


 復興へ歩み始めてから3年後の2035年。奴らは現れた。


 そして復興から3年後の2035年の始めに目撃されたのが2月の大西洋沖であった。

 

 アメリカに向かっていた貨物船の船員が進路を見ながら事であった。最初の目撃情報では、早朝の霧が少し濃かったせいか黒く大きな木船が漂っているとの目撃情報が寄せられた。それを皮切りに各地の海でも同じような事例が出始め中にはインターネットに投降されるほどだった。


 最初の目撃から三ヶ月経った。5月上旬の情報では、2月と異なり始めは黒い商業船だったのが、5月上旬では黒い軍艦型が現れ各海で民間船や軍艦を容赦なく次々と沈めたのちに、インド洋の中東あたりの海から奴らは集結しきて大規模な上陸作戦が始まる予兆だった。連合軍は、奴らの作戦を知ってたかのように復興作業で軍事削減を大幅に削減した痛手の最中でも構わずに戦闘できるだけの戦力を防衛に上陸阻止に回した。そして、5月12に日大規模な上陸阻止作戦、別名『インド洋の風作戦』が始まるが、奴らの戦力が凄まじく合えなく敗北となり大規模な被害をこうむった連合は、劣勢に見舞われた。奴らの大規模侵攻により戦火が少しずつ拡大につれて大規模な戦力不足と奴らの攻撃で補給支援が行きにくい状況下に追われた国連は敗戦を繰り返していき最終的には中東アジアが謎の勢力に制圧されしまった。

 

 連戦連敗の連合は緊急議会の末にマーズと命名したのである。


 何故。連合はいろいろな戦略を立てるがまるきり歯が立たなく連合は敗戦する理由がマーズ自体の装甲の特徴にあった。奴らの装甲はとてつもなく硬く戦車の徹甲弾すら貫通することはなく弾かれることが多く、運よく爆散しても凹みもしていない。おまけにマーズ自体の攻撃は凄まじく一回の攻撃で戦車の厚い装甲を貫通し、マーズの攻撃を食らった戦車は尽く爆散した。


 そして、マーズの大規模侵攻から一カ月後の6月下旬に日本の大規模侵攻が始まった。平和な日常が一瞬で戦火になるとはだれもが想像していないほどにマーズの侵攻は激しさを増していてゆき首都の東京もマーズの強襲で大規模な被害をこうむり、場所が変わって静岡県でも東京の進行と同じように戦闘が始まっていた。


 最初は三保からの上陸して来たマーズは連合軍の防衛線をすんなりと突破し、市街地へと進撃してきて、今に至る。


 連合軍は車両を盾にし、市民を守りながら後退するがかなわず。先回りされたマーズにより港に一時待機していた避難艇が無残にも火を燃えながら沈んでいた。


 見渡しても逃げ場はない、それに海に飛び込でもマーズの機銃掃射で殺られるが見えている。俺は少しの希望にかけて敵のど真ん中を走ったのだが無理であったのだ。マーズは俺が来るとすぐさま大きな鎌で横振りをした。俺はマーズの鎌の攻撃をもろに当たってしまって、胴体を横に真二つにされた。


 彼は、地面にたたきつかれ仰向けで空を見上げるように黒く立ち込める煙、火薬臭い、血の匂い、銃を連射する音、避難民と連合軍兵がマーズの攻撃でやられていく悲鳴……これが本当の戦争なんだと実感した。


 そして、俺は死を覚悟した。


 マーズは、少し息がある俺を大きな鎌でとどめをさそうとしたその時、空から飛行機、いや何かを装備した女の子が太陽の光から現れた連合軍の攻撃が効かなかったマーズをいともたやすく倒してしまった。


 その女性は瀕死状態の俺の所まで来て声をかけていたが、意識がもうろうとしていてしゃべれるどころか少しずつ寒くなってきた。ただ、最後の声だけは聴けた。



「……すぐ助けてやるからな……」

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