第130話 万事休す

 俺たちを緊張が、一気に襲う。

 モトフミの死。

 それは、かみさまの死を意味する。

 モトフミは、体を一切動かさない。

 そのまま地面に叩きつけられ、そのまま……


「絶命したようだな」


 ベルゼブブが、そう言うとフィサフィーが笑う。


「ふぉっふぉっふぉ

 所詮まがい物はまがい物……

 モトフミ様も神の器では無かったというわけか……」


「何がおかしい?

 お前のボスが死んだんだぞ?

 降参しないのか?」


 俺が、そう言うとフィサフィーが殺気を俺の方に向ける。


「降参じゃと?

 小童一匹死んだ程度。

 なんにも感じないのぅ。

 それともワシが、モトフミ様より下だと思っておるのか?」


「どういうことだ?」


 俺が、そう言うとフィサフィーは、玉藻さんの方に手を向ける。

 そして、閃光を放つ。

 これは、モトフミの技?

 俺よりも先に亜金君がプレゲトンで閃光を受け止める。

 しかし、プレゲトンはその攻撃で半壊した。


「プレさん?」


 亜金君が、驚いているとフィサフィーがため息混じりに言葉を放つ。


「何を驚く……

 ワシも主と同じく星の巡礼者じゃ……

 異世界から来た特殊な能力を持っておる」


「特殊な能力?」


 俺の疑問にフィサフィーが答える。


「見たものの能力を全て自分の能力に変えることじゃ……

 光の閃光は、モトフミ様の……

 そして、プレゲトンを吹き飛ばしたのはベルゼブブ様の黒き刃に触れた部分を異世界に移動させる能力じゃ」


「滅茶苦茶な能力だなそれ……」


 俺の言葉が漏れる。

 その瞬間ベルゼブブが黒き刃をフィサフィーに放つ。

 しかし、フィサフィーは、それを器用に避けた。


「流石は、ベルゼブブ様……

 容赦無い攻撃です。

 ……が、まだ青いですぞ?」


 フィサフィーは、そう言って黒き刃をベルゼブブに向けて放った。

 黒き刃はベルゼブブの体よりも大きく一瞬の間にベルゼブブの体を包み込みそして、ベルゼブブの姿が消える。


「ベルゼブブも死んだのか?」


「いえいえ、体まるごと全部異世界に移動してもらった。。

 あの方は、体の一部分でも残っていると再生しますらのぅ」


 残る戦力は、俺と亜金くんと玉藻さん。

 どうする?この戦力で勝てるか?

 亜金君の最大の武器、プレゲトンも壊れた。

 万事休すか……?

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