ニートな俺が異世界に転生してもスライムに殺されかけたうえに勇者たちに奴隷商人へ売られた話

第121話 勝利のカウントダウン

　ヴィンが、何度も何度も銃を放つ。

　俺はそれを受け止める。

　流れ弾が子どもたちに当たったら大変だからな。

　俺は、何度かの銃弾を受け止めその銃弾を今度は俺の武器に変える。

　銃弾も打ったあとはただの鉄くず。

　つまりゴミだからな。

　十分な武器になる。

　俺は、その銃弾を撃ち放つ。

　ヴィンは、その銃弾を銃弾で打ち返す。

　流石に強いか……？

　俺は、ゆっくりと視線を亜金君に移す。

　亜金君は、ジルと戦っている。

　刃と刃のぶつかり合いだ。

　ジルが言葉を放つ。

「なぁ？亜金。

　お前はどうやってその力を得た？

　女（プレゲトン）を失って得たんだろう？

　女失って得た力でジャキを殺した！

　どんな気分だ？ああん？」

　ジルが、そう言って亜金君を威嚇する。

「あまりいい気分じゃないよ……」

　亜金君は、そう言ってプレゲトンを構える。

「いいことを思いついた……

　ベル、こっち来い」

　ジルが、そう言ってカイと戦っているベルを呼んだ。

「なんだい？

　ジル？」

　ベルがジルの元に大きく後退する。

「……とりあえずさ。

　死ねよ」

「え？」

　ベルが、驚いた表情を見せた時、ジルは容赦なくベルの背中を刀で刺した。

　刀の刃は、赤く染まりベルが口から血を流す。

「ど……して……？」

「亜金は、女を失って力を得た。

　ならば、俺も女を失えば力を出せる」

「そんなことで仲間を殺すのか！？」

　亜金君が、怒鳴った。

　ジルは、刀を抜くとベルの体を蹴り飛ばす。

「この刀はな、虎徹と言って強い奴の血を与えれば与えるほど強くなる！

　今、ジルの血を与えた。

　よってこの刀は更に強くなる！」

　亜金君の目が冷たく光る。

「カイさん、あのベルって子をお願い」

「お願いって……？」

　亜金君は、カイにそう言うとジルに向かって駆ける。

　ジルも亜金君に向かって駆ける。

　何度も何度も何度も刃と刃がぶつかる音が響く。

　互角？いや、やや亜金君が勝っている。

　ゆっくりゆっくりポタリポタリと雨が降る。

「雨が降ってきたよ」

　亜金君が静かに言葉を放つ。

「何を言うかと思えば……

　そんなこと？」

　その様子を見ていたクレイジーが笑う。

「く！

　クレイジーさん！ヴィンさん！

　亜金から離れてください！」

　ジルが、叫ぶ。

「なにを言って――」

　クレイジーがそこまで言いかけたとき雨が刃に変わりジルたちに降り注ぐ。

「アローレイン……」

　亜金君の一言とともにクレイジーたちは、一瞬で大ダメージを受ける。

　だけど、命までは奪わなかった。

「テオスから手を引くのなら命だけは助けてあげるよ？」

　亜金君の目は殺気に満ちていた。

　戦局が一気にこちらの勝機に変わった瞬間だった。

　まさに勝利へのカウントダウンの瞬間だった。