第120話 楽しい戦い

「亜銀!」


 亜金君が、その名を呼ぶ。

 亜銀と呼ばれる少年は、静かに剣を抜いた。


「さて、誰からこのキリンの餌食になる?」


 亜銀君は、そう言ってジルの方を見る。


「ああん?

 どうして、俺の方を見る?」


 ジルは、首を傾げる。


「つまりは、こういうことです」


 そう言って空から1人の神父が落ちてくる。


「貴様!キサラギ!」


 ジルが、そう言って剣を構える。

 しかし、その剣を亜銀が薙ぎ払う。


「裏切るのか?亜銀!」


「裏切るも何も俺はテオスの仲間になった覚えはない」


 亜銀君が、そう言うとジルの方に剣の刃を向ける。

 その剣に銃弾が降り注ぐ。

 亜銀君は、ジルから距離を起きその銃弾を大剣で全て弾く。


「やはり、ファルシオンクラスになると俺の銃弾も当たらないか……」


 ヴィンが、そう言って笑う。


「あら?ヴィン、とっても嬉しそうね」


 クレイジーも嬉しそうに笑っている。


「あれを……

 ジル、あれを召喚しろ」


「あれを……ですか?」


「ああ、あれをだ……

 あれにはキサラギと戦ってもらう」


 ヴィンが低い声でそういうとヴィンは頷く。


「わかりました……」


 ジルは、そう言うと空に魔法陣を描く。

 そして、そこには一匹の獣が現れる。

 見た目は、RPGに出てくるワーウルフ。

 そんなに強くなさそうだけど、体から煙が出ている。

 俺も少しは敵の強さがわかるようになった。

 コイツは強い……

 獣はゆっくりと口を開く。


「我が名はゲルンガ。

 求めるのは強気もののみ……

 弱き者はこの場を去れ!」


 獣は、そう言うと一目散にキサラギの方に向かって突進した。


「血霧のゲルンガ……

 悪くありませんね」


 神父は、そう言って拳と両足に魔力を込める。

 そして、ゲルンガとの戦いが始まる。

 銃弾が俺の頭に降り注ぐ。

 痛い……

 俺は、ヴィンを睨む。


「相変わらず固いな。

 普通なら即死なはずだが……」


 ヴィンが、俺を睨んでいる。


「俺の防御力は折り紙つきだぞ?」


 俺はそう言って小さく笑ってみせた。

 ヴィンが、何発も俺に向けて銃弾を放つ。

 当たると痛いので俺はその銃弾を避けつつ子石を投げた。

 小石はヴィンに胸に当たるとヴィンが大きく後退する。


「く……


 当たると流石に痛いか……」

 ヴィンが、小さく呟くとクレイジーが笑う。


「ヴィン、苦戦しているの?

 私も協力しようか?」


 クレイジーが笑う。


「ああ、ジル。

 お前は亜金の相手をしてくれ」


 ヴィンが、そう言って俺の方に視線を戻す。


「さぁ、昴!

 楽しい戦いの始まりだ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る